1か月ほど前に世界中で同時公開された映画、
The Hobbit : An Unexpected Journey「ホビット~思いがけない冒険」をやっと観てきました。
去年の11月に予備知識ゼロで観た
Life of Pi と違って、初めて本で読んだ20歳前後の頃から、この作品には特別な思い入れがあったのです。
映画化の情報に、思わず
万歳三唱していたものね♪
ブログの記事、長くなってしまいますので、登場人物などの部分はスキップしてくださっても結構です。
でも、この映画を観て、人生の(特に海外で暮らしていく上での)大切な気付きを得た気がします。
今日の記事の最後に書いたその部分だけは、読んでいただければうれしいです。
私は大のファンタジー好きで、児童文学を専攻に選んだほど。
ここではない別のどこかに憧れる気持ちが、子供の頃からあったのでしょうか。
特にこの作品みたいに、神話を思わせるような壮大な物語には目がありません。
ファンタジーが苦手な方にとっては、長ったらしくて嘘臭くて退屈な映画なのかもしれませんが・・・
原作は、イギリスの作家
ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン J.R.R.Tolkien の同名の作品。
同じ著者による
「ロード・オブ・ザ・リング The Lord of the Ring / 指輪物語」三部作も、公開と同時ぐらいに映画館に出かけて観ました。
「ロード・オブ・ザ・リング」の方が先に映画化されてしまいましたが、
「ホビット」はその60年前が舞台です。
家の息子も、中学の時に国語(英語)の授業で
The Hobbit の小説を読み、やはりハマってしまいました。
夫は原作を読む気はしなかったようですが、映画ならこういう系も結構好き。
今回も、親子3人+飛び入りの友人1人で観に行くことに。。。
私が持っている
「ホビットの冒険」は、
瀬田貞二さん訳、
寺島竜一さんのすばらしい挿絵が入った本です。
原作者トールキンも、べた褒めだったそう。
「ロード・オブ・ザ・リング」の英語のセリフがかなり難しかったのを覚えているので、気合いを入れて本を読み直してから映画を観に行きました。
ストーリーさえわかっていれば、何とかついていけますからね。
白黒でイメージしていた各場面が、総天然色(古っ!)でくっきり鮮やかに生まれ変わった印象です。
「ロード・オブ・ザ・リング」でおなじみのキャスト、魔法使い
ガンダルフ Gandalf 、主人公だったホビットの
フロド Frodo 、エルフと人間のハーフ(?)の
エルロンド Elrond 、そして強烈な印象の
ゴラム Gollum(日本語訳の本では
ゴクリという名、本名は
スメアゴル Smeagol )なども再登場して、うれしかった♪
フロド役の
イライジャ・ウッド Elijah Wood は1981年生まれだけれど、まだ少年の面影・・・かわゆい。
ガンダルフ役の
イアン・マッケラン Ian McKellen は70過ぎているのに、アクションシーンの鮮やかな動きがすばらしい!
イギリスで
Knight に叙勲され、
Sir の称号を得ている名優です。
出演者の中で一番表情豊かなのが
ゴラムでしょうね。 キモかわいい・・・?
本の中で「いとしいしと(人)」と訳されているのは、やたらと出てくる
My Precious! というセリフ。
はめると姿の消える指輪のことを、こう呼んでいます。
ドワーフが13人も出てくるので、正直言って誰が誰だかよくわかりませんでした。
原作では、ドワーフ御一行様の中で一番お偉い
トーリン Tholin(リチャード・アーミティッジ)は最年長のはずなのに、これは若くてかっこ良すぎだろう!?
(真ん中のお方です)
本の中では「わしは~」とか、「~じゃわい。」とか、「そうじゃ、そうじゃ。」「かたじけのうござった!」(侍かい・・・?)なんて語っていて、じいさんのイメージがすっかり出来上がっていたので、この配役は全くの想定外!
キャラ、違いすぎです!!
原作では
バーリン Balin(左下のお方)より年上のはずだけどな。
男の中の男! 武士魂(?)を感じさせるトーリン
刀を抜いてみんなの先頭に立って走る姿も、死にかけて目を閉じた姿も、クラクラする素敵さでした。
ドワーフの中で一番若い兄弟、キーリ Kili とフィーリ Fili も、際立ってイケメンでした。
こういう人たちが出てくると、映画がますます楽しいこと♪
いい男にしか注目していなくて、その他のドワーフさん達、ごめんなさい。
ちょっとびっくりしたのがボフール Bofur!
何気ない表情が、ビートルズのジョージ・ハリスン George Harrison に似ている気がしました。 どう?
物語の詳しいあらすじなどを書いていると、また恐ろしく長くなってしまいますのでごく簡単に・・・
主人公のホビット
ビルボ・バギンズ Bilbo Baggins(マーティン・フリーマン Martin Freeman )が魔法使いのガンダルフに誘われ、13人のドワーフたちと共に、邪悪なドラゴン
スマウグに奪われたドワーフの王国と財宝を取り戻しに行く、
中つ国 Middle-earth を舞台にした冒険物語です。
ビルボと
ドワーフたちは、追いかけられては逃げ、そして戦うことのくり返し。
かなりメタボな
ボンブール Bombur を含めて、あの状況でドワーフ全員が助かるってあり得ないよな・・・とつっこみながら観ていました。
この映画の最後の最後に、黄金の中で眠っていた竜の
スマウグ Smaug が目を覚まします。
続きは第2部のお楽しみというわけ。 また12月まで待たなくちゃ。
一緒に行った友人、「ホビット」が3部作とは知らず、ええっ、なぜここで終わる!?とびっくりしていましたっけ。
ビルボの住居であるホビット穴は、とても居心地がよく、いつも清潔にきちんと整頓されています。
見習わなくてはね~
アポなしのお客がどどっと押し寄せてきても、ちゃんと全員をお腹いっぱいにさせるだけの食料の蓄えがあるのもすごい!
ホビット族は元々、お客が大好きでもてなし上手なのだそうです。
ドワーフ13人とガンダルフがいきなり押しかけて来たので、さすがのビルボも目を白黒させていましたけれどね。
お客様が多く、知り合いの知り合いといった初対面の人まで急に訪れることがある、ここミネソタでの我が家の暮らし・・・それと重なって、困惑しているビルボに思いきり同情してしまいました。
ビルボは、初めは気が弱くて優柔不断で、どちらかというとドワーフたちのお荷物になっていました。
けれども物語が進むにつれ、たくましく勇気にあふれ、深い知恵により的確な状況判断ができるように成長していきます。
私は本を最後まで読みましたので、ビルボとドワーフたちがたどるさらなる冒険についても、もう知っています。
広い世間から見ればほんの小さな平凡なひとりにすぎないビルボに、偉大な魔法使いガンダルフは、物語の最後で心からの敬意を示すのです。
優しさ、誠実さ、謙虚さ、賢さ、種族を超えた和を尊び、出会った人に心を開いていく素直さを持ったビルボ。
毎日の平凡な暮らしを大切にし、自分の家を最高に居心地の良い場所として愛し、きちんと整えておくビルボ。
体が小さくても、魔法なんて使えなくても、どんな状況でも卑屈にならず、プライドを持って自分の中にある素晴らしい素質を育んでいくビルボ。
辛い状況でも、やけを起こしたり、ごまかしたり、いつまでも愚痴ったり、あきらめたり投げ出したりしないビルボ。
安定した平和な暮らしに満足しながらも、全てを投げ出して冒険に飛びこんでいく勇気と好奇心と心の柔軟さを持ったビルボ。
不思議な運命に導かれるように、ここミネソタで暮らすことになった私も、思いがけない冒険の真最中なのかもしれません。
私自身の心の中にも、いつもビルボを住まわせておきたいな。
少しでも彼に近付くことができるように、この物語を忘れないようにしよう・・・
人より目立ちたい、人より少しでも多く分け前を取りたい・・・そんな人間が多いこの世界で、小さなビルボの愛すべき心根を、映画を観た皆さんが大切に思ってくれますように。
ああ、第2作、第3作の公開が待ちきれませ~ん!
おまけ 家のバードフィーダーにやってきた美しい赤い鳥。
夫によれば、
Grosbeak という仲間に分類されるそう。
多分、
Pine Grosbeak かな?
調べてみたら、日本では
ギンザンマシコ(銀山猿子)という名らしい。
(「さるこ」 じゃないのね・・・)
まっ白な雪景色に赤が映えます。
以前、集団でやってきたことも!