「死」 は、誰もがいつか確実に迎えるものです。
多くの人はそれについての話題を避けたがるのでしょうが、元気なうちにしっかりと準備しておくことで、残りの人生がもっと充実したものになるのではと思います。
1月にクリニックで健康診断を受けた時に、
リビングウィル Living Will の手続きが無料でできることを知らされ、良い機会だから考えてみようか・・・ということになりました。
配偶者と自分の死について考えるなんて縁起でもない!と眉をひそめる方もいらっしゃるかもしれません。
若い人たちにとっては、まだまだ他人事のように感じるでしょうしね。
でも、私よりずっと年上の夫は、交響曲で言えば人生もいよいよ最終楽章。 私だって第3楽章の後半あたりですもの・・・
今は幸い二人とも健康上の問題はありませんが、事故や事件、天災に巻き込まれる可能性だってありますから。
リビングウィルとは、簡単に言えば
「尊厳死の宣言」 であり、
「不治で末期の状態になった場合、無意味な延命措置を拒否する」 ことを、自分の意思として書面で家族や医療関係者に伝えるためのものです。
日本でも、回復の見込みがないのにチューブなどにつながれて単に死の時期を引き延ばされることを拒否し、人間らしい安らかで自然な死を求めて、
尊厳死協会に入会する人が増えていると聞きます。
ちょっと休憩。 これは、ネットの拾いものです。
リストの中のひとつでもあきらめなくてはならなくなったら、さっさとチューブをはずしてよねと言っています。
さて、リストにあるものは・・・??? (クリックすると画像が大きくなります。)
いやはや、すごい婆ちゃんです。。。
さて、私たちのことに戻ります。
先に夫が手続きに出かけ、私の分の書類も持ってきてくれました。
10ページもあるので、ひと通り目を通すだけで大変!
氏名、住所、生年月日などは先に書き込み、あとはクリニック専属の公証人と話し合いながらの作業となります。
じっくり時間をかけて細部にわたり私の考えを聞かれ、延命治療拒否についての確固たる意志を確認した上でないとサインしていただけません。
公証人は元牧師だったというやや年配の方で、とても穏やかに、終始にこやかに話をしてくださいました。
まず尋ねられたのは・・・
・なぜ、リビングウィルの手続きをしようと決めたのか。
・そう考えるきっかけとなった具体的な出来事があったか、それを経験して自分はどう感じたか。
ということでした。
そして、どのような状態を不治の終末期と呼ぶのか、
延命治療とは具体的には何を指すのかについて説明を受けました。
(説明がちゃんと理解できていたか、あとでまた質問された。 英語なので、かなり集中力が必要です。)
延命治療拒否の意思表示をしておけば、人工呼吸器やチューブ栄養などによる延命は行われませんが、痛みや呼吸の苦しさなどを緩和する措置は最期まで続けられるということについても、教えていただきました。
それから、以下のようなことを記入したり選択したりします。
・自分で意思決定ができない状態になってしまった時、この書類に基づいた治療方針の決定を誰に託すか。
(それが夫や妻である時、離婚した場合はどうするのか)
・CPR (心肺蘇生法) は試して欲しいか。
・脳死状態になった場合、臓器、角膜などのドナーになる意思があるか。
・死因がはっきりしない場合、検死を望むか。
書類の最後には、以下のことを書き込むページもあります。
・人生で大切に思っていること。
・どこで最期を迎えたいか。
・死期が近づいたら、親しい人たちに何をしてもらいたいか。 (礼拝、祈り、音楽その他)
・葬儀はどこで行って欲しいか (信仰する宗教、所属する教会名など)、葬儀に望むこと。
(アメリカでは、宗教上の理由などでまだ土葬が多いため、火葬にして欲しいこともここに書いておきました。)
そして、下の画像のページに自分でサインし、公証人のサインと共にスタンプがその場で押されて、やっと提出となります。
夫と二人の子供用に、コピー3部もいただきました。
移植用の臓器提供については、夫は自分自身ではノー!だそう。
私は、提供の意思ありです。 でも、それによって遺体が戻るのに日数がかかったり、体が切り刻まれてしまうのを家族が嫌だと思うなら、その気持ちも尊重したいと考えていました。
娘とそれについて話し合ったところ、彼女自身は当然のように、運転免許証にもドナーになる意思を表示しているのだそう。
あら、知らなかったわ・・・
私がそうしたいと思うなら、もちろん賛成だよ~とのことでした。
夫も、自分ではドナーになる気はないけれど、私に関してはその意思を尊重するとのこと。
そのうち臓器も古くなりすぎて、お役に立てなくなってしまうのでしょうけれどね。
「終活」 については、遺書、財産の整理と分与、葬儀やお墓についてなど、色々な概念が含まれますね。
一度には無理なので、まずは
延命治療について、夫婦・親子できちんと話し合うことができてよかったです。
そして、自分の最期について考え、お互いの意思を確認し合ったことで、夫婦の絆もますます深まったかな?
今まで十分に幸せな人生を送ってきたという自覚があるからこそ、きっと思い残すことはない、最期も自分らしく終えたいという意思につながるのかもしれません。
あと何年一緒にいられるのだろうかと考えると、ちょっと切なくもなります。
それに、どちらが残されてしまうことやら。。。
リビングウィルの広報サイトに、夫のインタビュービデオが載ることになりました!
元教師ですので、しゃべりは大得意ですから・・・
より多くの方が終末医療について考えるきっかけになれば、リタイアして約5年になる夫も、もう1度大仕事ができたことになりますね~
彼はまんざらではない様子、よかった、よかった♪
私も何だかほっとし、さわやかな気持ちでいます。
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