演奏する曲のひとつ、リヒャルト・ワーグナー Richard Wagner 作曲の 「ジークフリート牧歌 Siegfried-Idyll 」 には、とても素敵なエピソードがあります。
この曲が初演されたのは、何とワーグナーの自宅の階段でした!
彼の奥さんであるコジマ Cosima の33歳の誕生日兼クリスマスを祝うため、1870年12月25日の朝、コジマの寝室脇にある階段にオーケストラの選抜メンバーをそっと並べ、ワーグナー自身が階段の一番上で指揮をして演奏を始めたのだそう。
まどろみの中にいる妻を驚かさないよう、静かに穏やかに、この上なく優しげに始まる曲です。
コジマは、この朝のことを日記にこのように記しています。
「目が覚めた時、音が聞こえた。 それは次第に大きくなっていった。 もう夢の中に留まるわけにはいかなかった。 音楽が鳴り響いていたのだ。 何たる音楽なのだろう。 私の感動、興奮はとても言い表せるものではない。」
演奏後にコジマに手渡されたワーグナーの自筆譜の表紙には、「交響楽による誕生日の挨拶」 と記されていたそう。 粋だね~♪
思ってもみなかった誕生日のサプライズ・・・本物の愛情のこもった、世界にひとつだけの贈り物です。
高価な宝石より、ブランドもののバッグ (笑) よりうれしいねっ!
コジマは、感激のあまり涙を流したかもしれません。
(ああ、でも私だったら、スッピンで寝間着姿のまま、楽団員の前に出ていく勇気はなかったかも・・・)
実は、ワーグナーもコジマも共にバツイチでの結婚でした。
しかも、二人の間にはいわゆる不倫関係が長く続いていたため、世間から嵐のようなバッシングを受けていたのですって。
コジマは、多くの女性聴衆を失神させたと言われるイケメン作曲家、フランツ・リスト Franz Liszt の娘・・・これも、びっくりぽん!
リストはやたらとモテたけれど、生涯独身でした。 |
コジマの母親マリー・ダグー夫人は、リストと愛人関係にあった女性だったそうです。 (これも不倫!)
後にショパンの恋人となったジョルジュ・サンドとも、不思議な三角関係だったとか??
いやはや、クラシック音楽界はスキャンダラスすぎて、もうついていけませ~ん。。。
現代より、本能の赴くままに恋愛してたってことかしらん?
ワーグナーも別居中だった前妻と死別したため、晴れてコジマと再婚することになりました。
長男ジークフリートを産んでくれたことへの感謝を込めて、妻と息子への深い愛と慈しみに満ちたこの曲を書いたのは、ワーグナーが57歳の時でした。
ワーグナーとリストは同世代の作曲家ですから、親子ほど年齢の離れた夫婦だったわけです。
オペラを総合芸術として完成したワーグナー、「タンホイザー」 や 「ワルキューレの騎行 (「ニーベルングの指輪」 より) などのように壮大で力強い印象の曲が有名ですが、こんな一面もあったのね~♪と新発見でした。
ワーグナーは鼻もちならない自信過剰男だったようですし、最初の結婚後も浮気癖がひどかったみたい。
けれども、コジマとは幸せな結婚生活がずっと続いたそう。
聡明で知的な女性だったコジマとの間には、どんな会話が交わされていたのでしょうね。
ところで、今度のコンサートに向けて 「ジークフリート牧歌」 の楽譜を渡されたのは、今月3日でした。
その2日後の弦楽器だけのリハーサルまでに、各自よく練習して仕上げてきてね~だってさ。 おいおい・・・
演奏時間が20分位かかるだけでも初見では大変なのに、やたらと転調が多いのです。
聞いているだけでは何調なのかさっぱりわからず、複雑で速い動きの所もあり、決して易しい曲ではありません。
みんなで合わせるのは、本番前3回だけ!
大丈夫なのかしら・・・
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