2012/11/12

ホルンと呼ばれるのにホルンではない?

昨日のコンサートの話の続きです。

第一部の2曲目に演奏した Blades of Grass(草の葉)について・・・
アメリカの作曲家、ロメオ・カスカリーノの曲ですが、私はこの曲も作曲家名も全く聞いたことがありませんでした。


いつもオーボエを吹いている団員が English horn(日本ではコールアングレ cor anglais と呼ばれることが多い)のソロを吹きました。
イングリッシュホルンは、ホルンと言っても金管楽器ではなく、オーボエの仲間である木管楽器なのです!

オーボエのおとっつぁん、といった風情ですね。
先端部が、球根みたいにふくらんでいるのが特徴。 このまま土に埋めたら、根っこが生えてきそう!?

English horn  / コールアングレ

Wikipedia によると、

元々この楽器の形状が湾曲していたことから「曲がった角笛」を表「コール・アングル」が、誤って「イングランドの角笛」をあらわす「コール・アングレ」に転じたことに由来すると言われる。

・・・のだそうです。
誰かが訛っちゃって(?)、間違ったまま広まってしまったというわけね。

これに対し、かたつむり型のおなじみのホルンはフレンチホルン French horn と呼ばれます。

French horn

オーボエと同じ指使いで完全5度低い音が出るイングリッシュホルン、どんな音かと言うと・・・
ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」の第2楽章、有名な冒頭のメロディーに使われています。

昔、下校時に流れていた「家路」という曲、と言えばおわかりでしょうか。
夕方の公園などでも、耳にした気がします。
(今は、どんな曲が流れているのかしら・・・?)
イングリッシュホルンの音って牧歌的で懐かしい感じがするのは、「家路」を連想するからかもしれません。


ちょっと脱線コーナー】

 「家路」は日本の曲だと思っている方も多いですよね。 私も以前、そう信じていました。
 ♪遠き山に日は落ちて~♪  という日本語の歌詞までついていて、素朴で郷愁をそそられる曲です。
 
 その理由のひとつは・・・
 日本の伝統音楽に多い、ヨナ抜き音階が使われていること。
 (4番目と7番目の音、ハ長調だとファとシが抜ける)
 同じシチュエーションで耳にしそうな「夕焼け小焼け」もこの音階でできています。


70年代に大ヒットしたガロ「学生街の喫茶店」の間奏部分でも、イングリッシュホルンの音が聞けます。
私はまだ高校生でした、懐かしいな~

ラベルピアノ協奏曲ト長調の第2楽章、ボロディン「中央アジアの草原にて」など、私の大好きな曲に時々登場し、独特の雰囲気を醸し出しています。


話を戻しますが・・・
Blades of Grass は、聞いているとまるで瞑想状態に導かれていくような、静かで美しい曲です。

Carl Sandburg という詩人のポエムから、インスピレーションを得て作られたそうです。
私たちの演奏後に、曲の元になった詩の朗読がありました。


 Grass

 Pile the bodies high at Austerlitz and Waterloo.
 Shovel them under and let me work--
 I am the grass; I cover all.
 And pile them high at Gettysburg
 And pile them high at Ypres and Verdun.
 Shovel them under and let me work.
 Two years, ten years, and the passengers ask the conductor:
 What place is this?
 Where are we now?
 I am the grass.
 Let me work.


ワーテルローゲティスバーグなどの戦地に置き去りにされた、兵士の遺骸。
それを覆い隠し、数年後には何ごともなかったかのようにしてしまうの働きを、テーマにしています。


時は絶え間なく流れ続ける。 喜びも悲しみもいつしか押し流されていく。
すべてのものは形を変え、あとには静寂だけが残される・・・まるで「諸行無常」が描かれているような気がする曲だと思いました。

今まで知らなかった素敵な曲に出会えるのも、アメリカでのオーケストラ活動の楽しみのひとつです♪
次はクリスマスコンサートに向けて、さっそく練習開始!!



おまけ Blades of GrassYouTube には載っていないのが残念!
      代わりに、「家路」のメロディーを思い出してくださいね♪


6 件のコメント :

  1. おかべ なお2012年11月14日 21:39

    さくらさんは何でもご存じなんですね。勉強になります(^.^)
    下校時の音楽?小学生の時ですが当番にあたると外国のロック的な曲を流したものです。私位だから・・誰かすぐわって^_^;
    あららもしかして問題児に見られてたかしら?
    曲といえば
    今は駅によってメロディーが違いますよね。
    ♪さくらさくら♪
    ♪恵比寿ビールテーマ♪なーんてね。寝ていても今どこかわかるんですよね。ちょっと嬉しい

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    1. なおさん、

      あらあら、いきなりロックが流れてきて先生は真っ青、生徒たちは大喜び!?
      お当番の子が曲を選べたなんて、いいですね♪

      昔はどこの駅でも、おもしろくも何ともない発車ベルでしたが、
      今は駅によって違うのが楽しいですね。
      京浜東北線大井町駅のヴィヴァルディの 「四季」 が印象的でした。
      上りと下り、どちらがどちらだか忘れてしまいましたが、
      「春」 と 「秋」 が使われています。

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    2. おかべ なお2012年11月18日 21:29

      京浜東北線大井町駅ですか?縁のない線なので知りませんでした。上下線で曲が違うなんておしゃれ!それも春・秋で変えるなんてね

      今日は秋から急に冬になったような寒さで・体がついていかないです。
      そちらは、もっと寒いんですよね。気を付けてくださいね

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    3. なおさん、

      日本でも、各地で木枯らし1号が吹いたそうですね。
      急に寒くなると、何を着たらよいか迷ってしまうでしょう。

      こちらは昼間13℃位に上がり、この時期にしては暖かかったです。
      でも、また金曜日頃には最高気温が氷点下になるそう・・・
      海に囲まれた日本と違って、温度差激しいわ~

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  2. お久しぶりです。
    学生街の喫茶店~!懐かしいです。
    あれがどんな楽器を使っていたか??
    んん~~音楽音痴の私には皆目検討が、、、。苦笑
    Sakuraさんの音楽講座で学ばせていただきます。
    どうかな?できが悪い生徒ですが~宜しくね。

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    1. みどりさん、

      懐かしいですよね~
      今では、「喫茶店」 なんて言葉も死語かしら?

      実は私も 「新世界より」 を演奏するまで、
      この楽器の名称を知りませんでした。
      Sakura の音楽講座 (?)、またいつか続きを書きますね。

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