目玉は、ブログの こちら と こちら にしつこく書いた、ヴィヴァルディの 「四季」 です。
今回はプロのソリストは頼まず、私たちのコンサートマスターが華麗なソロをご披露!
そして、指揮者がチェンバロ (電子ピアノですが) を弾きながら、時々指揮もしました。
出演者がいつもより少ない家庭的 (?) なコンサートも、なかなか良いものです。
コンサートマスターは文句なしの素晴らしいソロで、私たちも後ろでうっとり♪
最初の曲は、ヨハン・セバスティアン・バッハ Johann Sebastian Bach 作曲の管弦楽組曲第3番でした。
・・・と言われても、どんな曲だかピンとこないですよね。
序曲 (オーヴァーチュア Overture) は堂々と明るく始まり、中間部はファーストヴァイオリン殺しの超速となります。 休みなく16分音符が続き、指がつってしまいそう・・・
あっ、息をするのを忘れてた!と数人が口を揃えたほど、集中力が必要です。 (◎_◎;)
バッハの管弦楽組曲は全部で4曲あり、序曲は全部、緩-急-緩という展開がお約束。
第3番は序曲の後、アリア Air、ガヴォット Gavotte、ブーレ Bourrée、ジーグ Gigue と続きます。
序曲の次は、聴いているだけで心が安らぎ、穏やかな優しさに包みこまれるような、あの有名な 「G線上のアリア」 です。 上の動画では、7分36秒あたりから始まります。
この曲、元々はただの 「アリア Air」 というタイトルなのです。
(「空気」 の air と同じスペル、同じ発音でエアと読みます。 イタリア語では Aria で、メロディーが美しく叙情的な独唱曲、またはそれを連想させるような曲のことです。)
ずっと後の1871年に、ピアノ伴奏のみでヴァイオリンが独奏できるようにと、ヴァイオリニスト、アウグスト・ウィルヘルミ August Wilhelmj がこれを編曲しました。
その独奏版は、ヴァイオリンの最低音の弦であるG線1本だけで弾けてしまうため、 「G線上のアリア」 として親しまれるようになったわけです。
とは言え、G線だけで高音まで美しく弾くには、鋭い音感もテクニックも必要。
私などが弾くと、まるで首を絞められている鶏のようで、人にお聞かせすることはできません。
注) ヴァイオリンには、低いほう (太いほう) から順にG線 (ソ)、D線 (レ)、A線 (ラ)、E線 (ミ) の4本の弦があり、ドイツ音名でゲー線、デー線、アー線、エー線と呼びます。
けれどもこの曲に限っては、一般的には英語式に 「ジー線上のアリア Air on the G String」 と読みます。
原曲のオーケストラ版の 「アリア Air」 はニ長調で、実はヴァイオリンのG線は全く使いません。
それなのに 「G線上のアリア」 って、何だか変ですよね~
ヴァイオリンの独奏も、原曲のニ長調のままで演奏されることも多いですが、アウグスト・ウィルヘルミバージョンはハ長調に編曲され、オクターブ+1音下げてあります。
全部載せるのはまずいかな・・・?ちらっとお見せします。 |
オーケストラ版が天使のように清らかな女性の歌声みたいに聞こえるのに対し、ソロ版は何でも許してくれそうな包容力のある大人の男性のイメージかな。
イギリスのロックバンド、プロコル・ハルム Procol Harum のデビュー曲 「青い影 A Whiter Shade of Pale」 のベースラインやメロディーにも、この曲のエッセンスが詰まっていると言われています。
「G線上のアリア」 と 「青い影」 、私が先に耳にしたのはどちらだったか覚えていませんが、両方とも大好き♪
そして、「青い影」 はユーミンなどにも多大な影響を与えています。
やはりバッハは音楽の父なのですね~
なお、アリアに続くガヴォットは、スズキ・メソードのヴァイオリン教本第3巻に載っているため、日本ではもちろん、アメリカの多くのリトル・ヴァイオリニストたちにも親しまれている曲です。
(私は息子に数年遅れて習い始めたので、これを弾いた時は既にアラフォーでしたが・・・)
客席で聴いていた夫も、まだ幼かった息子が弾いていたのを思い出して、とても懐かしがっていました。
耳にする機会の多いバロック音楽はお客様ウケもよく、演奏する側にとっても楽しいコンサートでした♪
ヨーロッパで、王侯貴族やキリスト教会のもとで栄えたバロック音楽。
日本では江戸時代の前半にあたり、鎖国していた時期です。
その頃の音楽と言えば、三味線による地歌、箏曲、浄瑠璃ぐらいで、ヨーロッパに比べると地味な印象。。。
舶来もの好きだった織田信長が、もし本能寺で殺されていなかったら、日本の音楽史もかなり変わっていたかもしれませんね~
★2月15日のコンサートのプログラム★
Orchestral Overture (Suite) No.3 in D major, BWV 1068
管弦楽組曲第3番 (Johann Sebastian Bach)
The Four Seasons, Op. 8
ヴァイオリン協奏曲集 「和声と創意への試み」 より第1番~第4番 「四季」 (Antonio Vivaldi)
Concerto No. 1 in E major, "La primavera" (Spring)
1. Allegro
2. Largo e pianissimo sempre
3. Allegro pastorale
Concerto No. 2 in G minor, "L'estate" (Summer)
1. Allegro non molto
2. Adagio e piano – Presto e forte
3. Presto
Concerto No. 3 in F major, "L'autunno" (Autumn)
1. Allegro
2. Adagio molto
3. Allegro
Concerto No. 4 in F minor, "L'inverno" (Winter)
1. Allegro non molto
2. Largo
3. Allegro
INTERMISSION
Canon in D major from Canon and Gigue パッヘルベルのカノン (Johann Pachelbel)
Overture and Allegro from La Sultane 「スルタン妃」 より序曲とアレグロ (François Couperin)
Adagio in G minor アルビノーニのアダージョ (Tomaso Albinoni)
Concerto Grosso in D major コンチェルト・グロッソニ長調 (Dominico Scarlatti)
「四季」 のソネットをここに載せようと思いましたが、長くなりすぎるので別記事に。
こちら も、ちらっとお読みいただければうれしいです。
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こんにちは♪
返信削除綺麗な音色だけでも出すのがとても難しいバイオリンなのに…G線だけで艶のある音をよどみなく演奏するのは至難の業だと思います。音色そのものより苦労と肩こりに想像しただけでも、息が詰まってしまいそうです(^^)
コンサート、お疲れ様でした。
四季、素敵ですよね。
一昨年、そして昨年と12月の末に違う演奏家で聴きました。
春はあまりにも有名ですが、夏の稲妻の音…秋の酒盛りの賑わい…冬の雪が舞うような旋律…
とても魅力的デス♪
Chopiana さん、
削除「春」 の出だしに限っては、めちゃくちゃ有名ですね。
でも、今回のコンサートで、 「四季」 を全部通して聴いたのは初めてだとおっしゃる方が、
結構多かったです。
夏の雷雨も、実りの秋の酔っ払いも、歯がガチガチ言うほどの冬の寒さも、
みんな魅力的で、本当に名曲ですよね♪
「G線上のアリア」、このソロを曲名どおりにG線だけで魅力的に弾ける人こそが、
真のヴァイオリニストかも。
私は、一生かかっても無理かもしれません。。。