2013/11/03

話題の映画 Gravity (ゼロ・グラビティ) レビュー

10月4日に全米で公開になった映画 Gravity を、遅ればせながら観てきました♪
日本では、「ゼロ・グラビティ」という邦題で12月13日に公開だそうですね。
ちらっとだけネタバレもあるかもしれませんが、観た感想などを書いておくことにします。

アルフォンソ・キュアロン監督によるこの映画、公開から5日で興行収入1億ドルを突破したという、超話題作!
アカデミー賞も大いに期待されているそう。

ストーリーそのものはごく単純で、ハリウッド映画にしては地味・・・?
あらすじを簡単に言うと、スペースシャトルの船外活動中に、突然の事故で地上から600kmという無重力の宇宙空間に放り出されてしまった乗組員のサバイバルドラマです。



出演者は何と2人だけ!メディカルエンジニアのライアン・ストーン博士と、ベテラン宇宙飛行士のマット・コワルスキーです。
あと、若干の死体が登場しますが。。。

ですから、セリフと言ってもほとんどが、2人の間に交わされるものと独り言だけです。

しかも、絶望的な状況で励ますにしては、ちょっとありきたりすぎないか?みたいな会話だったりして・・・
残念ながら、最高のシナリオとは言い難いものだったようです。
(というのは、夫の感想です。私の英語力では、細部まで完璧に理解するのは無理。。。)


それでも、この映画を観る価値のあるものにしているのは、漆黒の宇宙空間とスペースシャトル、そして青くて大きな輝く地球の描き方です。
これはぜひ、映画館の大きなスクリーンで観なくちゃね。

奇跡の美しい惑星、私たちの故郷である地球!
人間が国境なんかを勝手に作って戦争したり、自然を破壊して汚したり、何だか地球に申し訳ない気持ちになってしまいます。

小さな島をめぐって領土問題で争うなんて、本当にアホくさいこと。
ジョン・レノン「イマジン」の歌詞みたいに、将来は国なんてなくなって、世界がひとつになればいいのにね。

映画のタイトルである無重力空間の描き方も、細かい所まですごい・・・職人技でした。
宇宙に飛び出す勇気はないけれど、無重力はちょっと経験してみたいかも。


もうひとつ特記すべきは、ほとんどひとり芝居である主役のサンドラ・ブロック Sandra Bullock の抜群の演技力です。
世間で言われているように、オスカーの主演女優賞が狙えるでしょうね。


ベテラン宇宙飛行士役のジョージ・クルーニー George Clooney の、頼りがいのある温かい表情も良かった♪



約1時間半ですから、大して長い作品ではありません。
次々に訪れる困難な状況にハラハラドキドキはしますが、もうそろそろ勘弁してよと思った頃に、ちょうどよく終わりました。
これ以上はネタバレになるので、どんな終わり方だったかは秘密・・・

時々、主人公ライアンのヘルメット内からはどのように見えるかという視点に変わり、より一体感を感じられようになっています。

酸素はどんどん減るばかり、地球との通信も断たれてしまう、自分がどこにいるのか把握できず、たった1本のロープだけで必死につながっている。
「エイリアン」みたいに、とんでもない生物が襲いかかってくるわけではありませんが、十分に恐ろしい状況です。

こんな極限状態では、パニクらずに冷静でいろという方が無理!
ごく普通の人は、一生こんな目には遭わずにすむのが幸いです。


3Dで観ましたが、立体感や一緒に宇宙を漂うような浮遊感がもう少し感じられるとよかったかなあ。
だんだん3D映画に慣れてきてしまい、あまり感激がなくなってしまったのかもしれません。

最初のシーンはとても良かったです。
真っ暗な宇宙空間に小さな白い点々が見えてきて、それが徐々にズームアップされると、この映画の登場人物たちだということがわかります。
私たちの美しい地球、暗い宇宙、飛行士、スペースシャトル、順にフォーカスされる印象的なカメラワークでした。


ツッコミどころも、色々ありましたよ~

宇宙服って脱ぎ着がものすごく大変で、1人ではできないのではなかったかしら・・・とか、
宇宙服の中が、あんなに軽装なわけないよなあ・・・とか、
ちらっとマニュアルに目を通しただけで、いきなり操縦は無理だよなあ・・・とか。


ドキュメンタリー映画ではなくてSF映画ですので、お堅いことは言わないことにしましょう。


原題は Gravity なのに、邦題にはご丁寧にゼロが加わって「ゼロ・グラビティ」
無重力の宇宙空間での出来事だということを、強調したかったのでしょうか。

でも、ちゃんと重力がある地上への帰還を切に願う気持ちも、Gravity というタイトルには込められているのではないかと、ふと思ったのですが。
宇宙空間にいると、普段は当たり前に存在する重力というものが、ひどく懐かしくなるに違いありません。



それから、まるでへその緒のようなロープにつながった宇宙服で漂う様子、ライアンが胎児のようなポーズで丸まっている様子、それにもきっと深~い意味が込められているに違いありません。

1968年の映画「2001年宇宙の旅」にも、最後のシーンで突如として胎児が出てきましたっけ。
あの難解な映画ほどには、Gravity に哲学的なものは感じませんでしたが。


ところで、つい最近のニュースで、巨大な気球で宇宙へ飛び立って地球を眺めるツアーのことが話題になっていましたね。
料金はたったの(?)75,000ドル(約750万円)ですって!
でも上空30kmということで、無重力状態ではないそうです。

もし、何らかのアクシデントで気球が割れてしまったら・・・!!
行ってみようかなと思っていたお金持ちの方々も、この映画を観ると躊躇してしまうかもしれません。

どんなにお金持ちだったとしても、私は多分行かないと思います。
いろんな意味で、地に足のついた暮らしが最高です、ねっ♪



おまけ 日本語の字幕付き、「ゼロ・グラビティ」予告編です。
     映画の中では使われていませんが、予告編の出だしの音楽は私の大好きな曲♪

     エストニアの作曲家アルヴォ・ペルト Arvo Pärt の、 Spiegel im Spiegel です。
     ブロ友の chopiana さんに教えていただいたのがきっかけで、ハマっています。

     「鏡の中の鏡」という意味の曲名で、これをBGMとして使ったセンスに脱帽だわ~
     まるで時空を超越したような、不思議な気分になる曲ですもの・・・

     chopiana さんの記事も、ぜひご覧ください。
     驚くべき映像と共に、この曲が詳しく紹介されています。

8 件のコメント :

  1. Sandra Bullock 大好きなんですよ!
    映画のご紹介ありがとうございます。宇宙が大好きなので
    この映画を見たいと思っていました。格安の時間帯に
    行ってこようかな?英語が難しかったですか?
    娘を連れていこうかな?込み入ったないようって
    理解に苦しむことがありますね。
    サブタイトルがついてくれればいいのに。

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    1. みどりさん、

      私よりずっとアメリカ暮らしの長いみどりさんなら、
      きっとセリフも全部わかりますよ。
      全然、込み入った内容ではありません。
      もしこれが、サブタイトルなしのギリシア語か何かだったとしても、
      話の流れに、問題なくついていけるような感じの映画でした。
      それだけ演技力がすばらしかったということでしょうか。

      Sandra Bullock も宇宙もお好きでしたら、
      ぜひぜひご覧になってくださいね。

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  2. 無重力の音の無い世界とArvo Pärtの世界は相互関係が成立するんですね…プレビューを見ながらそう感じてしまいました。でも、宇宙って怖いですよね…神秘的で美しい裏返しは人間の無力さを見せ付けられる…生物としては人間は弱い。まだまだ数知れず人間が知らないことが存在する宇宙…人間はこれからどう開拓していくのでしょう?

    ブログの記事を紹介していただき、ありがとうございました。Arvo Pärt―スピリチュアルな聖域を感じてしまう音楽ですね♪

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    1. chopiana さん、

      映画の予告編を目にした時、思わず声を上げてしまったほどでした。
      意外な所で、懐かしい友にばったりと出会ったような・・・

      Arvo Pärt のこの曲、果てしなく広がる宇宙の闇と静寂に、
      何てぴったりなのでしょう。
      規則正しく軌道を回る惑星、無数に散らばる銀河、
      そんなものまでイメージできるような・・・?

      chopiana さんのおかげで、すばらしい曲にめぐりあえたことを、
      とても感謝しています。 ありがとう♪♪

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  3. おはようございます。

    私の夢、叶わぬ夢に近いんですが、宇宙から地球を見たいんです。あの青い地球をね。
    すごき奇麗だそう。
    この映画見たいです。予告を見ましたが静かな流れから突然の事故で宇宙に放り出され、此処でパニックですね。グラビティーゼロの状態、宇宙開発が行なわれてる現在、人間が住めるようになるのでしょうか?多分かなり先になるのでしょうが可能なんですね。その頃と言えば地球は悲惨な状態で宇宙へ脱出かも。

    NASAで最後のスペースシャトルの宇宙飛行見たかったです。。

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    1. ねこちゃんさん、

      子供の頃、大人になったら自由に宇宙旅行ができる世の中になっているかも
      ・・・なんて夢見ていました。
      テクノロジーは驚くほどに発達しましたが、そこまで急激には進歩しませんでしたね。

      ものすごくお婆ちゃんになった頃、まだ元気だけれど、
      もういつどうなってもいいという状況だとします。
      その頃、一般人でも宇宙に飛び出すのが可能になっていたら、
      私もぜひ、宇宙から地球を見てみたいです♪

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  4. おかべ なお2013年11月10日 21:40

    面白そうな映画ですね
    宇宙って神秘的で エイリアン(悪いイメージ)とか ETとか わくわくします
    秋の空は 星がキラキラと輝き その向こうで何が起こっているのかと 見上げています
    アイソン彗星もみたいな 
    中学生のころ …天体望遠鏡で弟と遅くに夜空を眺め、土星の輪を見たときには感激したけど・・
    この歳だと夜更かしはこたえる  (笑)

    気球ですか  親友が外国に行って気球に乗ったそうですが・・ちょうどそのときニュースでも取り上げられた気球落下!・・ 私は絶対無理!!
    多分彼女なら 行きたがるかもしれないけど 30キロ? お金もらっても嫌~

    昔は月のウサギを信じていた子供たち  いい時代だわ
    で、月からきたかぐや姫♥ 
    主人が応募した 「ジプリのかぐや姫」の試写会が当たり ちょっと楽しみです

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    1. なおさん、

      宇宙の果てはどうなっているの?とか、ビッグバンの前はどんな状態だったの?とか、
      考え始めると、訳がわからなくなりますね。

      ミネソタでは、晴れた日の夜には星がバカみたいにたくさん見えるのがうれしいです。
      天体望遠鏡ではなく、ちょっとした双眼鏡でも、
      土星の輪も、木星の月も (何となくだけれど) 確認できました。
      なおさんも、弟さんとの良き思い出ですね。

      えっ、月にウサギはいないの!?
      ずっとお餅をついているのだと思っていたわ (^_^;)

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