すると、たくさんのトンボが私の周りを飛んでいることに気付きました。
(下の写真の右側に写っています。)
不思議に思いながら歩き始めると、風景が普段と何となく違って見えたのです。
まるで、無意味な形が連続している3Dマジカルアイの画面を立体視した時に、意味のある画像が急に浮かび上がってくるような・・・?
いつも見慣れた3次元の世界を超えた、別の次元に入り込んでしまったような気がしました。
その時とっさに頭に浮かんだのは、日本で闘病中の86歳の父のことでした。
一時は携帯メールが打てるほどに元気を取り戻しましたが、ここ数日は眠っている時間が長くなったと聞いていました。
遠く離れているけれど、きっと今なら魂と魂のレベルでコミュニケーションが取れると、なぜか確信したのです。
とても不思議な感覚でした。
・命を与えてくれたことと、家族が安心して暮らせるよう毎日一生懸命働いてくれたことへの感謝。
・子供時代の恵まれない家庭環境、戦後3年間にわたるシベリア抑留生活、
そして17年前の脳梗塞発病による左半身マヒ、今回の下肢動脈血栓閉塞症・・・
様々な大きな試練に見舞われた父の人生への労わり。
・私は、ここミネソタで幸せに暮らしているよ、この地に根を張ってしっかり生きていくよ、
子供たちもそれぞれ自分の進むべき道をみつけ、前に進んで行けそうだよとの報告。
・反発を感じたりすることもあったけれど、結構性格が似ている所もあるな~との気付き。
・重い病気と闘いながらも、決して取り乱したり怒鳴り散らしたりはしなかった父、
自棄にならず、希望を捨てなかった父への尊敬の気持ち。
・もし生まれ変わりというものがあるのなら、来世でも必ずまた家族になろうね!との約束。
実際に言葉に出したわけではありませんが、短い時間に上のような思いが次々と頭の中に浮かび、それはしっかりと父に伝わった気がしました。
妖精みたいな青いトンボに続き、美しい蝶も現れてヒラヒラと春のダンスを踊っていました。
家に戻ると、母と妹から連絡が・・・!
4月8日より闘病生活を送っていた父が、とうとう天国に召されたとのこと。
最期は眠るように静かに・・・だったそうです。
時間を聞いたら、ちょうど私がトンボに誘われるように歩き始めた頃でした。
日本に住む妹が花に水をやっている時にも、白い蝶がはらはらと体の周りを飛んでいたそう。
単なる偶然なのかもしれませんが、自力で寝返りをうつこともできなくなっていた父が、肉体の束縛から抜け出し、自由の身になったことを喜んでいる象徴のように思えるのです。
そんなわけで、またもや日本に戻ることになりました。
あちこちのサイトを調べ、航空券を手配するのが大変でしたが・・・
いたずらにゃんこのキキも、いつもよりおとなしく、少し心配そうに傍でじっとしていてくれました。
苦労が多かった分、とても立派な卒業証書を手にしたに違いない父に、
「お疲れさま、よく頑張ったね!」という言葉をかけてあげたいです。