2021/10/05

世界のあるべき姿がオーケストラに・・・

10月に入っても、昼間は20℃以上の暖かい日が続いています。
数年前は10月5日に初雪が降ったこともありましたけれど、今年はまだ庭のプランターの花も元気です♪

一昨日のコンサートも、陽気の良さもあってか大勢のお客様・・・一同ほっとしました。
コロナの1日の新規感染者が劇的に減って3ケタとなった日本とは対照的に、アメリカでは17万人以上ですって!!
ミネソタ州だけでも約3500人だそうで、地元の病院でもベッドがいっぱいの様子。
こんな状況なので、客席はガラガラなのではないかとみんな心配していました。

ただし、たとえワクチン接種完了でも、お客様も団員も再びマスク着用が義務付けられています。
マスクなしで解放感を味わえたのは8月のコンサートだけだったのが残念ですけれど、仕方ないですね。

それでも、「私たちは決して負けませんよ~」というメッセージを、皆さんに強く印象付けることができたコンサートだったと思います。


前半はエドヴァルド・グリーク Edvard Grieg 作曲「ペール・ギュント第1組曲」
「ペール・ギュント」は、ノルウェーの作家イプセンが書いた戯曲に、同郷であるグリークが音楽を付けたもの。
夢見がちで自由奔放な主人公の名が、そのまま戯曲名になっています。


特に第1組曲最初の「朝」の爽やかなメロディーは、一度聞いたら忘れられません。
ほとんどの方は、耳にしたことがあるのではないでしょうか。



休憩をはさんで、後半はヨハネス・ブラームス Johannes Brahms「ピアノ協奏曲第2番」でした。
これは、ピアニストにとっては最も困難な協奏曲のひとつだそう。
指揮者もずっと以前からやってみたい気持ちがあったものの、かなりの難しさに長年躊躇してしまい、今回初めての挑戦だったそうです。

ブラームス独特のリズムの複雑な絡み合い、2拍子と3拍子が同時進行の部分もあり、限界に挑戦!みたいに弾きにくい高音が続く部分もあり、確かに難曲でした。
指使い、一体どうしたらいいの・・・?
でも、各自がそれを克服して仕上がった時の喜びも、いつもの数倍だったかも♪

自分のヴァイオリンパートだけで、休みが長く続く部分は飛ばして練習すると30分位なのに、全体では1時間近く・・・
ほとんど休む暇もないピアニストは、本当に大変です。
しかも全部暗譜なのですから、頭の中はどうなってるの???と不思議でたまりません。

今回は Roger McVey さんがいらして、華麗な演奏を聴かせてくださいました。
数々の国際ピアノコンクールで優勝、準優勝となったことがあるそう!


以前のブログで、スローテンポで大変美しい第3楽章だけご紹介しましたが、今日は曲全体の動画をどうぞ。
私の大好きなピアニスト、エレーヌ・グリモー Hélène Grimaud さんとN響による演奏です。




今回のコンサートでは、音楽の持つ素晴らしいパワーに全身で浸る幸せを特に感じました。
そして、「世界が目指すべき理想の姿」がここに凝縮されていると気付いたのです。

たくさんの楽器が使用され、形も音質も音域も音量もみんな違うけれど、それぞれが美しく、どれもが大切。
出番が多い楽器もそれほどでない楽器もありますが、どれが欠けても完成せず、全てが尊ばれます。

どれかの楽器が主役となってメロディーを担当している時は、それが最高に輝けるようにその他の楽器が寄り添って応援します。
他人がスポットライトを浴びている時は、出しゃばって邪魔をすることはありません。
そして自分の番が回って来たら、今度は遠慮せずに思い切り輝きます。

自分の音だけでなく、常に周りの音全てを注意深く聴き、音量のバランスに気を遣い、テンポは足並み揃えます。
全体の中で自分がどんな位置でいれば良いのか理解するには、お互いを大切に思う細心の気配りが必要です。

次にどんな音が来るのか、「今」だけでなく常に先を考えながら行動します。
ある楽器が投げかけたメロディーを、別の楽器が完璧なタイミングで受け取り、ふくらませていったり・・・
まるで、気持ちの良い会話のやり取りのようです♪

男女の別や年齢に関わらず、団員には上下関係はありません。
人種的差別も、おかげさまで誰からも一度も感じたことはありません。
本当に素敵なお仲間に恵まれて、有難いこと・・・

そう言えばピアノの鍵盤上は、も全く平等です。
そこにも、どちらのほうが優秀だという発想はありません。
白鍵だけのピアノも黒鍵だけのピアノも、どんなにつまらないことでしょう。
両方が合わさってこそ、素晴らしい世界となるのです。

#もそう。別のものに見えるけれど、実は同じ音を表す別表記に過ぎなかったりします。
これ、人間同士の討論にも当てはまることがあるのでは?
「自分のほうが正しい、おまえは間違っている」と言い張るのはナンセンスよ。

素晴らしい音楽をみんなで完成させるには、まずはひとりひとりの精一杯の努力が必要です。
怠けていたら、自分のせいで全体がぶち壊しになってしまいます。
誰かが代わりにやってくれるわけではありません。自分の仕事は責任持ってきちんとしなきゃね。
ひとりひとりの力は小さくても、みんなの力が合わさると、ひとりではとても行けない高みに行けてしまうのが嬉しいです。

そして常に全体を俯瞰し皆を導く指揮者は、きっとに当たるのでしょう。
皆が心から信頼して従えば、完璧に調和された世界が生まれます。

神と言えば・・・11月のコンサートはいつものホールでなくルーテル教会でごく小規模に行うことになりました。
私たちの指揮者の、パイプオルガン演奏もあるそう。
ほとんどの団員はクリスマスコンサートまでしばらくお休みで、ちょっとほっとしています♪


♪10月3日のコンサートプログラム♪

     Peer Gynt Suite No.1, Op. 46 「ペール・ギュント第1組曲」 (Edvard Grieg)
       Ⅰ. Morning Mood 朝
       Ⅱ. The Death of Åse オーセの死
       Ⅲ. Anitra'sDance アニトラの踊り
       Ⅳ. In the Hall of the Mountain King 山の魔王の宮殿にて

           Intermission
       
     Piano Concerto No.2 in B-flat major, Op. 83 「ピアノ協奏曲第2番」 (Johannes Brahms)
       Ⅰ. Allegro non troppo
       Ⅱ. Allegro appassionato
       Ⅲ. Andante
       Ⅳ. Allegrett grazioso - Un poco piu presto

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