2012/11/18

招かれざるお客様

この辺では、鹿ハンティングシーズンもやっと今日で終わり! よかった!!
家の周りで銃声が聞こえたり、家の中に銃などがゴロゴロしているのは、やはり落ち着きません。

残念ながら、夫は今年も獲物なし・・・
ヘタに鹿を引きずってこられても困るので、私としてはほっとしています。


今日は快晴で、(ミネソタにしては)春のように暖かい日でした。
湖の氷も、また一部解けてきたみたい。

庭には、バードフィーダーが吊るしてあります。
人懐っこいチカディー chickadee など、たくさんの小鳥たちがやってきて、私たちの目を楽しませてくれます。

チカディー (アメリカコガラ) 

これは何という名前の鳥かしら?


ただし、小鳥のエサを狙ってリスたちも来てしまう。。。
赤リス red squirrel 、灰色リス grey squirrel 、黒リス black squirrel 、色々登場します。

赤リス

バードフィーダーに大胆によじ登って揺らし、下にこぼれたエサを横取りしていく・・・
小鳥のエサ、買っても買ってもすぐになくなってしまいます。



この赤リス君、私がかなり近づいても全く逃げようともしません。
とてもかわいくて見ていて飽きないのですが、夫に言わせると何でもかじってしまう「困ったちゃん」らしい。。。
間違って家の中に入り込んだら、そこら中をボロボロにされてしまうだろうな。

ちょっと反省している様子かい?


ごめんね。 今度、君たち専用のエサを用意しておいてあげるからね。


いつの間にか、ほとんど全面凍った湖。
ある朝、一部だけ水面が出ている所をねらって、たくさんのカナダグース Canada goose が集まっていました。




ひゃ~、こんなにたくさんのカナダグースを近くで一度に見たのは初めて!
ヒッチコックの映画、「鳥」を思い出してしまいます。

動物たちにも鳥たちにも、長くて厳しいミネソタの冬はこたえることでしょう。
また去年みたいに暖冬だといいな。


ネコのキキだけは、いつも家の中でぬくぬくと怠惰な人生(猫生?)を満喫しています。
窓ごしに、小鳥やリスの動きを眺めるのが大好き。



明日からまた、鹿と間違えられる心配なく、林の中をウォーキングできる~♪
家の土地ではありますが、近所でお世話になっている方にはハンティングシーズン中解放していたので・・・
ちょっと運動不足なので、楽しみです。

2012/11/12

ホルンと呼ばれるのにホルンではない?

昨日のコンサートの話の続きです。

第一部の2曲目に演奏した Blades of Grass(草の葉)について・・・
アメリカの作曲家、ロメオ・カスカリーノの曲ですが、私はこの曲も作曲家名も全く聞いたことがありませんでした。


いつもオーボエを吹いている団員が English horn(日本ではコールアングレ cor anglais と呼ばれることが多い)のソロを吹きました。
イングリッシュホルンは、ホルンと言っても金管楽器ではなく、オーボエの仲間である木管楽器なのです!

オーボエのおとっつぁん、といった風情ですね。
先端部が、球根みたいにふくらんでいるのが特徴。 このまま土に埋めたら、根っこが生えてきそう!?

English horn  / コールアングレ

Wikipedia によると、

元々この楽器の形状が湾曲していたことから「曲がった角笛」を表「コール・アングル」が、誤って「イングランドの角笛」をあらわす「コール・アングレ」に転じたことに由来すると言われる。

・・・のだそうです。
誰かが訛っちゃって(?)、間違ったまま広まってしまったというわけね。

これに対し、かたつむり型のおなじみのホルンはフレンチホルン French horn と呼ばれます。

French horn

オーボエと同じ指使いで完全5度低い音が出るイングリッシュホルン、どんな音かと言うと・・・
ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」の第2楽章、有名な冒頭のメロディーに使われています。

昔、下校時に流れていた「家路」という曲、と言えばおわかりでしょうか。
夕方の公園などでも、耳にした気がします。
(今は、どんな曲が流れているのかしら・・・?)
イングリッシュホルンの音って牧歌的で懐かしい感じがするのは、「家路」を連想するからかもしれません。


ちょっと脱線コーナー】

 「家路」は日本の曲だと思っている方も多いですよね。 私も以前、そう信じていました。
 ♪遠き山に日は落ちて~♪  という日本語の歌詞までついていて、素朴で郷愁をそそられる曲です。
 
 その理由のひとつは・・・
 日本の伝統音楽に多い、ヨナ抜き音階が使われていること。
 (4番目と7番目の音、ハ長調だとファとシが抜ける)
 同じシチュエーションで耳にしそうな「夕焼け小焼け」もこの音階でできています。


70年代に大ヒットしたガロ「学生街の喫茶店」の間奏部分でも、イングリッシュホルンの音が聞けます。
私はまだ高校生でした、懐かしいな~

ラベルピアノ協奏曲ト長調の第2楽章、ボロディン「中央アジアの草原にて」など、私の大好きな曲に時々登場し、独特の雰囲気を醸し出しています。


話を戻しますが・・・
Blades of Grass は、聞いているとまるで瞑想状態に導かれていくような、静かで美しい曲です。

Carl Sandburg という詩人のポエムから、インスピレーションを得て作られたそうです。
私たちの演奏後に、曲の元になった詩の朗読がありました。


 Grass

 Pile the bodies high at Austerlitz and Waterloo.
 Shovel them under and let me work--
 I am the grass; I cover all.
 And pile them high at Gettysburg
 And pile them high at Ypres and Verdun.
 Shovel them under and let me work.
 Two years, ten years, and the passengers ask the conductor:
 What place is this?
 Where are we now?
 I am the grass.
 Let me work.


ワーテルローゲティスバーグなどの戦地に置き去りにされた、兵士の遺骸。
それを覆い隠し、数年後には何ごともなかったかのようにしてしまうの働きを、テーマにしています。


時は絶え間なく流れ続ける。 喜びも悲しみもいつしか押し流されていく。
すべてのものは形を変え、あとには静寂だけが残される・・・まるで「諸行無常」が描かれているような気がする曲だと思いました。

今まで知らなかった素敵な曲に出会えるのも、アメリカでのオーケストラ活動の楽しみのひとつです♪
次はクリスマスコンサートに向けて、さっそく練習開始!!



おまけ Blades of GrassYouTube には載っていないのが残念!
      代わりに、「家路」のメロディーを思い出してくださいね♪


2012/11/11

官能的な響き♪

雪のちらつく寒い日・・・コンサートの本番でした。
今日、11月11日は Veteran’s Day(退役軍人の日)という祝日です。
コンサートのテーマも "Musin&War" でした。 退役軍人の方は、入場も無料ですって。

彼らを称えて、アメリカ国歌も演奏しました。
もしかしたら日本軍と戦った方もいらしたかも。。。 ちょっと複雑な気分でした。


第一部の最初は、この前のリハーサルの時には危ぶまれたワーグナーの曲でしたが、無事に終了。
指揮者にあれだけ言われてしまったので、みんな真剣に練習してきたようです。

お次は、アメリカの作曲家ロメオ・カスカリーノBlades of Grass(草の葉)という曲。
またやたらと長いブログになってしまうので、これについてのお話は次回にいたします。

第一部はベートーヴェン「運命」で終わりました。
寒い日なのに、演奏する私たちは汗だく・・・休憩中に外の空気を吸いに行く団員、続出でした。
上半身だけとは言え、ヴァイオリンの演奏ってずっとエクササイズしているようなものですからね。



そして第2部は、「威風堂々」などでおなじみのイギリスの作曲家、エルガー「チェロ協奏曲」
エルガーが第一次大戦から受けた印象が、曲に盛り込まれているのだそうです。

曲の途中で拍子がずい分変化しますし、リタルダンド(次第に遅く)やフェルマータ(拍節を止める:普通はその音をほどよく伸ばす)がふんだんに使われています。

杓子定規に1、2、3、4のようには数えられない部分が多いので、指揮も演奏もかなりの集中力が必要・・・
このテンポの揺れが、まるでため息のよう・・・決して癒えぬ悲しみを表している気がします。

今日のチェロのソロは、 Dr. Wesley Baldwin という方でした。


テネシーの音楽大学の教授で、アメリカ国内だけでなく世界各国で、独奏または室内楽の演奏活動も行っているそう。
日本にもいらしたことがあるのですって。 私にとびきりのスマイルをくださって、ドキドキしてしまいました。。。

そして、彼のチェロの音色にすっかりやられちゃった・・・!
何とも言えず温かみがあり、しかも官能的な響き!

ヴァイオリンの高音もきらびやかで素敵ですが、チェロは深くて豊かな低音からつややかな高音まで音色に幅があり、何て魅力的な楽器なのでしょう。


アメリカのお客様は、いつもスタンディングオベーションで心からの拍手を送ってくださいます。
終了後、ステージ上でチェロのソリストと指揮者(女性)が固くハグ・・・おおっ!でした。
じ~んとしてしまいます。



以下が、今日のコンサートのプログラムです。


     Tannhauser: Prelude to Act Ⅱ (Richard Wagner)

     Blades of Grass (1945) (Romeo Cascarino)

     Symphony No. 5 in C minor, Op.67 (Ludwig Van Beethoven)
       1. Allegro con brio

       2. Andante con moto
       3. Allegro
       4. Allegro

     Cello Concerto in E minor, Op. 85 (Edward Elgar)
       1. Adagio - moderato
       2. Allegro molto
       3. Adagio
       4. Allegro - Moderato - Allegro, ma non troppo


おまけ エルガーのチェロ協奏曲、全曲です♪