全10巻の岩波文庫「完訳ファーブル昆虫記」、やっと読み終えました!
これをオーダーしたのは、何と13年前・・・ふうっ、長い道のりだった・・・
住み慣れた日本からミネソタに移住して1年ちょっと、次第にこちらの生活に慣れてきたものの、気持ちはまだ何となく日本に残っていた頃に読み始めた本でした。
子供の頃にきっと皆さんも、「ファーブル昆虫記」や「シートン動物記」の子供向け抜粋版って読んだ(読まされた?)ことがあるのではないかしら。
「シートン動物記」はすっかり忘れてしまっているのですが、フランスのジャン・アンリ・ファーブル(1823-1915)の「ファーブル昆虫記」のほうは、挿絵と共に紹介されていた「フンコロガシ(スカラベ)」などの不思議な昆虫の生態がとても印象的で、よく覚えています。
ミネソタに来てから毎日大自然に親しむようになり、あの懐かしい「ファーブル昆虫記」をまたじっくり読んでみたいなと思っていました。
時々日本の本や雑貨をオーダーしていた会社で、キャンペーン期間中に送料がとても安くなるとのことで、「ファーブル昆虫記」に飛びついたのです。
(その少し前に、映画を観て原作も読みたくなった「指輪物語 (The Lord of the Rings)」全10巻もオーダーしたばかりだった)
はるばると日本から届いた本を開いてみたら、あまりの字の細かさに絶句・・・!
そして、それぞれの巻が400ページ前後あります。
翻訳には、第二次世界大戦をはさんで30年近くかかったそうで、昔しか使われていなかったような難しい漢字も多いのです。
読み始めたけれど途中で投げ出して、先に「指輪物語」全10巻を読むことにしました。
そちらは、それほど時間をかけずに全部読み終わった気がしますが、その後また気を取り直してファーブルにチャレンジ!
寝る前に数ページ読むと良い感じで眠気に襲われてくるので、睡眠薬代わりにもなる有難い本でした。
毎晩読めば、蟻さんの歩みのようでも段々終わりに近づきます。
何回かの日本への一時帰国も、必ず「ファーブル昆虫記」がお供。
飛行機の中では読みませんでしたが、空港での待ち時間や、日本滞在中に電車内でも・・・
これを読むのにかなりの時間がかかるので、他の本を何冊も持って行かなくてもすみました。
年のせいか、読んだそばから内容を忘れている気がしますが、ファーブルの虫たちへのとてつもなく深い愛情、気が遠くなるような長時間の観察による洞察に、かなりの感銘を受けました。
フンコロガシとの再会にも、ちょっと感激(笑)
本能によって行動する虫は、誰に教わるでもなく、人間よりはるかに高度な技術を持った麻酔医であったり解剖学者であったりします。
反面、決まりきった行動の過程が少しでも狂うと、それを修正する能力は全く持ち合わせていないようで、失敗しながら少しずつ学習していくということもなさそう。
ですからファーブルは、私たちが学校で習ったダーウィン(1809-1882))の「進化論」については、「昆虫記」の中で何度も頭から否定しています。
アメリカでは、「神が全てを創造した」という理由で「進化論」を否定する人は多いため、これについてはそれほど驚かなかったのですが・・・
ファーブルが1878年から1907年にかけて書き綴ったこの本、堅苦しい表現ではなく、楽しい物語のようでした。
昆虫学者として優れていただけでなく、相当な文才もユーモアもあったからこそ、世界各国で読まれてきたのでしょう。
(ここアメリカでは、日本のように「誰もが知っている本」ではなさそうですが)
この本を読んでから、身近にいる昆虫たちにもますます親しみを覚えています。
人間にとっては害のある虫も多く、嫌なヤツはやっぱり嫌ですけれどね。
ようやく読み終わって、ほっとしたような残念なような・・・
いつかまた読み返すことがあるだろうかと考えると、根気も視力も衰えてきてちょっと無理かな~と思いますが。
今朝は、庭にこんなお客様が!
体は小さいけれど、立派な角が生えてきていますね。
とても暖かくて素晴らしい天気だった今日、夫とボートに乗ったら怪獣のような雲が見えました♪
小さな虫から大きな空まで、自然の営みに圧倒されることが多いミネソタライフです。
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