2013/09/29

アメリカ移住への勇気をくれた音楽

私たちがミネソタに本格的に引っ越してきたのは、夫が勤めていたインターナショナルスクールを定年退職した、2011年の夏でした。

いつかはその日が来ることがわかっていました。
でもやはり、いざとなると住み慣れた日本を離れるのは不安で寂しくて・・・

家族や親しい友人、便利で快適な都市生活、世界最高かもしれない豊かな食文化、そういったものとお別れして、今までとは全く違う新たな環境に身を置くにあたっては、かなり心の葛藤がありました。

勢いだけで移住できたかもしれない若い時と違って、すでに50代半ばでしたから、なおさらね。。。

でも、ある曲を聴いている最中に、ふっと迷いがふっ切れちゃった!
まるで、曇天の空に急にまばゆい太陽の光が射しこんだみたいに。

それがジャン・シベリウス Jean Sibelius 作曲の 「フィンランディア Finlandiaでした。



19世紀末、フィンランドが帝政ロシアの支配下にあり、その圧政に苦しんでいた時代、次第に民衆の反発が強まり、独立に向かおうという時に生まれた曲です。

苦難を表す重苦しい出だしですが、闘争への呼びかけ、勝利への導きが、巧みな作曲技法で表されています。

圧倒的な力強さと優しさを兼ね備えた 「フィンランディア」 は、以前から親しんでいた曲でした。
けれども、なぜかその時はいつもより心の奥深くにすうっと入りこんでいって、希望の種を落としていってくれたのです。

私はきっと大丈夫だ!って勇気がわいてきました。
どこに住もうと誇りを持って自分らしく生きよう、誠実に、優しく、毎日のちっちゃな幸せを敏感に感じ取りながら。

中盤の美しいメロディーには、後から歌詞がつけられ、現在も 「フィンランド讃歌 Finlandia Hymnとして親しまれています。
フィンランドでは、第二の国歌として愛唱されているそう。

そしてシベリウスは、フィンランドの独立を求めた民衆に勇気を与えた英雄として、今でもとても尊敬されているのですって。


またこの部分は、讃美歌第298番 「やすかれわがこころよ」 としてもよく知られています。
実は私、結婚式を挙げた教会の聖歌隊員だったことがあります。 ですから、その頃から大好きな歌でした。
讃美歌の中で、人気の高い曲のひとつです。

英語では、 Be Still, My Soul というタイトルです。 天使の歌声でどうぞ♪


This Is My Song というタイトルで、違う歌詞で歌われることもあります。

 


私たちのオーケストラ、10月6日のコンサートでこの曲を演奏します。
創立75周年という節目の年を記念し、現在の指揮者ではなく、前任の指揮者が振ってくださるのですって。

湖と森林に囲まれたミネソタには、自然環境が似ている北欧から移民してきた方が多いです。
フィンランド生まれのシベリウスの人気は高いはず。

「フィンランディア」 の他に、同じくシベリウス交響曲第2番も演奏します。
練習は大変ですが、とても楽しみ♪
北国の、美しく時には厳しい自然に囲まれてこそ、この作曲家の本当のすばらしさがわかるというものです。


ミネソタでの暮らしも3年目を迎え、ずい分慣れてきたなと思いますが、ここらで初心に返ってみよう・・・

私は、ミネソタに戦いに来たわけではありません。
でも、弱気になりそうな自分の心と戦い、この地で幸せに暮らすことが、私にとっての勝利なのかも。

日本で聴いた 「フィンランディア」 が蒔いてくれた希望の種が、すくすく育っているのを確認したいと思います。


おまけ 娘が最近買ったトースターですって。 写真が送られてきました。
       こんなパンが焼けるなんて・・・か、かわいい。。。私も欲しい!


       NHKのマスコットキャラ、どーもくんは、アメリカでも人気者♪

       このトースター、どういうわけか日本では販売されていないようですが、
       アメリカのアマゾンなどで買えます。 Domo Toaster というのですって!
       お値段は約40ドルです。


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6 件のコメント :

  1. 判りま~す。
    フィランディアとモルダウと新世界が、大自然に包まれているような幸福感をもたらしてくれる「三大神曲」です。
    悩み事、心配な事そして困りごとが、些細に思えてくるから不思議!

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    1. 匿名さん、

      音楽って、本当に不思議な力を持っていますよね!
      「モルダウ」 と 「新世界」 も、時々無性に聴きたくなる曲です。
      心のサプリメントみたいなものでしょうか。
      聴くだけで元気になる、幸せな気持ちになる・・・そんな曲を知っているのはラッキーですよね。

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  2. おはようございます。

    決断の時、心に迷いがある時に音楽が力をくれたんですね。シベリウスの”フィンランディア”,心の迷いが徐々に消えて行きミネソタの大自然の広がりが見えるような音楽、心配するな。。大丈夫だよ。。て言ってくれてるかのようです。
    私は未だ若い時に渡米したので、若気の至り。。でした。大汗
    トースターを見て、あ、日本製だと思ったら正解でした。。こんな顔をみたくて毎朝トーストを食べるかもしれません〜〜笑

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    1. ねこちゃんさん、

      もう、アメリカでの生活の方が長いのでしょうか。
      子育てもアメリカでなさり、お友だちもたくさんいらっしゃるのでしょうね。
      私は未だに、ちょっとお客様気分が残っているかも・・・
      これからしっかりとこの地に根を張っていこうと、決意はしています。

      どーもくんトースターには笑ってしまいました。
      キティちゃんの顔に焼けるトースターもあるようですよ♪
      お孫さんが喜ぶかも!?

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  3. この演奏を見たとき「演奏家のひとたち四方から客席に囲まれて落ち着かないだろうな…」と思ってしまいました。やはり、そうですか?大体が正面からが多いと思うのでこういう違った趣向は空気が違うのではないかと想像してしまいます。

    フィンランディア。不安と恐れから序所に光がさし勇気に変わって力溢れる曲に積み重なっていくところが民衆の力と声に重なっているのですね。choirが加わることでより人々の喜びと叫びの表現がされている…Sakuraさんの不安もこの曲が後押ししてくれたのですね-_-...

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    1. chopiana さん、

      そう言えば、こんな風にお客様に囲まれると落ち着かないかもしれませんね。
      音の響きも違ってくるでしょうし・・・

      音楽療法ってありますけれど、その時々の気分に合った音楽を聴くのは、
      私にとっても、まさしく心のサプリメントです。
      夫も、 No music, no life. なんて言っていますし、音楽なしじゃ生きられない私たちです。
      chopiana さんにも、これを聴けば絶対元気になれる!という曲がありますか?

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