おまけのページ

2019/02/18

ハムレットとオフィーリア

綱渡り的な緊張感を味わったコンサートが昨日終わり、ようやく肩の荷が下りた気がしています。

今回は、かなりの難曲であるチャイコフスキー「ハムレット」を含むプログラム。
指揮者の都合だったのか、本番前の3日間で仕上げるというハードなスケジュールでした。

木曜の初リハーサルでは、正直のところ「ええっ?こんなで本番は大丈夫なのか・・・?」と、みんなハラハラドキドキ。
でも、奇跡的に(?)大成功に終わりました。

テーマがシェイクスピアで、人文学者クレイ・ジェンキンソン Clay Jenkinson さんによるレクチャーを交えながらのコンサートでした。


前半は、メンデルスゾーン作曲の「夏の夜の夢」から4曲。

テンポの速い「スケルツォ」を弾き終わると、1曲目なのに既にへとへと。。。
おなじみの「結婚行進曲」が、一番緊張感なしに演奏できた曲だったかも。


後半は、エドワード・マクダウェル Edward MacDowell (1860-1908) というアメリカの作曲家の「ハムレットとオフィーリア」から始まりました。

悲劇のヒロイン、オフィーリアを表す部分の出だしは、優しく儚げ。
ワーグナー作曲「トリスタンとイゾルデ」前奏曲~愛の死の、夢を見ているようなもやもやと抑えた雰囲気をモチーフとしているようです。


これを家で練習していた時「そうだ、このオフィーリアに会ったことがある!」と思い出しました。

2008年9月、渋谷の Bunkamura でのジョン・エヴァレット・ミレイ John Everett Millais (1829-1896) 展を、母と観に行った時です。

少し前に行ったフェルメール展の作品数が7点だけでしたので、そのつもりで出かけたら大間違い。
こちらは80点近くあって、急いで鑑賞しなければなりませんでした。
そのミレイの代表作が、小声で歌を口ずさみながら川に浮かぶオフィーリアだったのです。

恋人であるハムレットに冷たくされ、さらには父親を殺され、傷心のあまり理性を失っていたオフィーリア。
ある日のこと、手に持っていた花輪を小川のほとりの柳の木にかけようとした時、枝が折れて花輪と共に川に落ち、やがて溺死してしまったのでした。


色とりどりの花と共に横たわるうつろな瞳が哀れでもあり、怖さも感じます。
ミレイによるオフィーリアの絵が、あまりにもマクダウェルの曲にぴったりでびっくり・・・
曲の後半、オフィーリアをテーマにした部分は、下の動画の9分56秒頃から始まります。


そう言えば、樹木希林さんを起用した宝島社のこの企業広告も、大きな話題を呼びましたね。


「死ぬときぐらい好きにさせてよ」の言葉通り、生き方も亡くなり方も本当にお見事でした。。。

実は夫も私も3年前に、尊厳死などについてのリビングウィルの手続きをしてほっとしています。
もう、そういうことを意識しなければならない年になりました。
 記事はこちら ⇒ ぼちぼち終活・・・リビングウィル


話がかなり脱線しましたが、コンサートの締めくくりはチャイコフスキー「ハムレット」でした。
100%の集中力が必要な部分が次々と登場する、大変な曲だこと。。。

誰でも知っているハムレットの超有名なセリフ "To be, or not to be, that is the question" のヘビーな雰囲気が、あちこちに漂っている感じがしました。


でも、さすがメロディメーカーの誉れ高いチャイコフスキーの作品らしく、オフィーリアを表現するオーボエのソロの部分は、うっとりするほど美しいです。

リハーサルがいつものように2週間あればもう少し楽だったのでしょうが、本番前の3日だけは少なすぎ・・・
無事に終わってこんなにほっとしたコンサートは、久しぶりでした。。。


♪2月17日 コンサートのプログラム♪

     Four Pieces from Midsummer Night's Dream 夏の夜の夢 (Felix Mendelssohn)
       Ⅰ. Scherzo スケルツォ
       Ⅱ. Intermezzo 間奏曲
       Ⅲ. Nocturne 夜想曲
       Ⅳ. Wedding March 結婚行進曲

           Intermission
     
     Hamlet and Ophelia, Op. 22 ハムレットとオフィーリア (Edward MacDowell)

     Hamlet Overture, Op. 67 幻想序曲「ハムレット」 (Peter Ilyich Tchaikovsky)


おまけ ミレイ展に行った時に「オフィーリア」より気に入ったのはこの作品です。
     お嬢さんをモデルにした「初めての説教」。教会での緊張感が伝わってきますね。


    そして、「2度目の説教」
    あらあら、今度は退屈しちゃったみたいね。



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2 件のコメント:

  1. Sakuraさん 匿名です。ご無沙汰しております。そちらでは先月末に大寒波が襲来し、ダルースの近くのCottonと言う町で-48度を記録したそうです。ダルースに住んでいる友人へ「大寒波が終わって良かったですね」と言うメッセージ送ったら「まだ終わっていない。記録的な豪雪に見舞われている。」と言う返事が来ました。ウィスコンシン中部に住んでいる友人からも"snowiest"と言う返事が来ました。Sakuraさんのお宅はダルースよりも北にあるのでダルースよりも寒いでしょうね。ミネソタはTwin Citiesへしか行ったことがありません。一番近い都会がセントポールだったので。セントポールまで1.5時間で行けました。雪道と氷で凍った道は滑りやすいのでお気をつけください。豪雪だと車でも外出できないので食料を前もって確保しておこないといけないですね。日本では、数年前、日本に定住且つ帰化したドナルド・キーン死が亡くなりました。

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    1. 今年のアメリカ中西部の冬には、皆さん本当にうんざりしています。
      南極並みに寒かった一時期は、それでも毎日青空でまだ救われたのですが、
      2月に入ってからの雪の多さには、ここで生まれ育った人も驚いているほどです。
      「このままだと9月頃まで雪が残って、10月からまた続いて雪の季節ね!」なんて、今日も知人と冗談を交わしました。
      ウィスコンシンは、ミネソタよりもっとひどいと聞いています。
      雪のために車に閉じ込められて動けなくなった方たちの映像を、ニュースで流していました。
      交通事故の量も、半端でないようですよ。

      色々とご心配ありがとうございます。
      幸いここでは外出ができないというほどではないので、買物などには出かけています。
      でも雪かき後の大きな雪山があちこちにできているため、よく見えなくて車の運転が怖いです。

      東日本大震災の直後、日本在住の外国人が次々と本国に帰って行くのを目の当たりにしましたが、ドナルド・キーンさんは逆に日本国籍を取得して、永住を決意されたとのこと・・・
      日本人以上に日本を愛してくださっていたようですね。

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