コンサートが無事に終わって、今回は特にほっとしています。
フランツ・リスト Franz Liszt 作曲の
「死の舞踏 Totentanz 」 は、本番2日前のリハーサルの時、ピアニストとの初合わせだったのですが、あり得ないことが起こってしまいました
(*'o'*)
ピアニストと私たちが、違う編曲のものを練習していたのです。
そう言えば、初めて YouTube と合わせて弾こうとした時に途中で迷子になってしまい、違うバージョンが存在することには気づいていました。
私たちが練習していた楽譜は、後に
ブゾーニ が改訂したもので、中盤に管楽器だけの非常に美しいバリエーションが登場するものです。これは詩篇130篇の
「深き淵より De Profundis 」 のフレーズだそう。
完璧に暗譜しているピアニストがこれから変更するのは不可能ですから、急遽私たちに別の楽譜が配られ、初見で演奏する羽目に。。。
皆さん読譜能力にも優れているので何とかなりましたが、指揮者は真っ青だったでしょうね。
金曜の夜のリハーサルが終わって帰宅後、私はさらに夜中まで練習しましたよ。
頭の中に刷り込まれてしまっていたピアノのメロディも、別バージョンのものに上書き修正です・・・
他の団員も、きっと練習に励んだのでしょう。翌日土曜日午前中のリハーサルでは、ちゃんと揃いました。
ピアニストは、
Matthew Lorenz さん。落ち着いて見えますが、まだ21歳という若さです。
彼のピアノの師は、
Dr. Nariaki Sugiura という函館生まれの日本人だそうで、何だか嬉しいわ♪
プロの演奏を動画で観ると、動きが速すぎて指が見えないほど(笑)
VIDEO
とんでもない跳躍も多く(リストはものすごく手が大きかったですからね~)、力強さと繊細さの両方が求められる曲ですが、本当に見事な演奏でした!
個人的には、本番で演奏したバージョンのほうが実は好きだったので、両方練習できて得したかも?
もうひとつの
悪夢 は、
エクトル・ベルリオーズ Hector Berlioz 作曲の
「幻想交響曲 Symphonie Fantastique 」 について。
長くなるので曲の詳しい解説は省略しますが、「若い音楽家が、恋わずらいによりアヘンで服毒自殺を図ったが、死ぬまでには至らず、眠りの中で一連の奇怪な幻想を見る」という、かなり変わったテーマです。
第1楽章から第3楽章の終わりまでは大変美しいものの、その終わりにティンパニーが轟くあたりから、怪しい世界に突入していきます。
「断頭台への行進」 という標題の第4楽章では、人々の嘲笑や首が転がる様子までがちゃんと音で表されているのです。
言葉も映像もないのに、どうして・・・? 本当にそう聞こえるのが不思議です。
第5楽章は
「魔女の夜宴の夢」 。
主人公の葬儀に集まってきた化け物たちが、何でもあり!という感じの大騒ぎをします。
VIDEO
演奏する側は、他の楽器と複雑に絡み合うリズムに大変な緊張感を強いられます。
どこかのパートが落っこちてしまったら、みんな這い上がってこられなそうで、それこそ悪夢と言えるでしょう。
謎すぎる斬新な音があちこちから聞こえてくるのがおもしろく、美しい前半より私は好きです。
途中で教会の鐘も鳴れば、骸骨が笑っているように聞こえる部分も・・・
これは
コル・レーニョ col legno という、弦楽器の弓の木の部分で弦を叩く奏法によるものです。
(弓に悪そうなこの奏法、その後いろいろな曲で使われるようになりましたが、これが史上初だったそう。)
1830年に作曲されたのに、1960~70年代のピンク・フロイドなどにも通じるものがあるサイケデリックな音が続きます。
病的とも言えるこのシンフォニーの情景、ある女優に熱烈な恋心を抱いて猛烈にアタックしまくったという作曲者自身の心象に重なっちゃっています。
女装して人殺ししようとしたり、自殺未遂騒ぎを起こしたり、ベルリオーズってかなり危ない男だったみたい。
ついでに言えば、数年後にはその女優とめでたく結婚したものの、愛情が冷めるのも早かったようです。
コンサートを聴きに来た夫が、あれはドラッグなしじゃ作れない曲だろう・・・な~んて感想を漏らしていましたが、実際にベルリオーズも
アヘン を吸った状態で作曲したというウワサ!やっぱりね。。。
もうひとつびっくりだったのは、土曜のリハーサルで第5楽章を練習中、突然客席の周りの壁のあちこちにライトが点滅し始めたこと。
あら~、今回は照明でも
魔女の夜宴 っぽい効果を出すなんてすごい!と思っていたら、実は
火災警報 でしたっ!!
幸いなことに、誤報だったとの連絡がしばらくして入ったのですが、誰も演奏をやめようとしなかったのは良かったのか悪かったのか・・・?
本当の火事だったら、私たちどうなっていたのでしょう。
色々とハプニング続きのリハーサルでしたが、本番はばっちり♪
大編成のベルリオーズ、セカンドヴァイオリンは11名いたものの、諸事情によりファーストヴァイオリンは6名だけで頑張りました。
難しい曲こそ練習のしがいがあり、終わった後の感激もひとしおで、聴きに来てくれた友人たちとみんなで飲んだビールがおいしかったです!!
★10月8日のコンサートのプログラム★
Berceuse and Finale from The Firebird Suite No. 2 「火の鳥」 より「子守歌」「終曲」
(Igor Stravinsky)
Totentanz (Paraphrase on "Dies irae") for piano and orchestra
「死の舞踏『怒りの日』によるパラフレーズ」 (Franz Liszt)
INTERMISSION
Symphonie Fantastique, op.14 幻想交響曲 (Hector Berlioz )
1. Visions and Passions
2. A Ball
3. In the Country
4. The Procession to the Stake
5. The Witches' Sabbath
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