おまけのページ

2024/09/24

2年前の新年の誓いを、ちゃんと果たせたよ ♪

今年の9月は暖かい日(時には暑い日)が多かったせいか、紅葉はまだまだです。
夫は、今年最後の庭の芝刈り。落葉も一緒に刈り込んでしまいます。

今のうちにしておかないと、もっと後で本格的な落ち葉かきをする時に、葉が長い芝に引っかかって厄介なのでね。



9月は色々とあって、本当にあっという間でした。
やっと落ち着けた感じのする今週、久しぶりにピアノにも向き合っています。

2年前の2022年、「新年の誓い」のひとつに「ベートーヴェンピアノソナタを全制覇」という壮大で無謀なものがありました。ブログ記事はこちら ⇒ 50年分の垢を落としたら
それが、もうすぐ果たせそうです♪

多分、少なくとも3年はかかるだろうなと思っていましたが、ほぼその通りでした。
初めのほうはそれほど難しくなくてどんどん弾けたのに、終わりが近づくにつれてどれも大作続き。
フーフー言いながらの旅となりました。

それでも、今日は一番最後の第32番の第2楽章(この曲はこれが最終楽章)にどうにかたどり着き、楽譜に今日の日付を書き残しました。
もちろん、これからもっともっと練習して弾き込むのですけれど。


有名な第8番「悲愴」と同じハ短調で、重々しく始まる第1楽章から一転し、ハ長調の第2楽章「アリエッタ」は穏やかで、まるで天使が舞い降りてきたかのよう。
トリルが続く部分は、キラキラと光り輝いている印象です。

多分全てのピアノ学習者は、一番易しいハ長調の曲から練習し始めると思いますが、その基本に戻り、なおかつ「ハ長調でもここまでできるぜ!」と、あらゆる技巧が盛り込まれたすごい作品となっています。
ベートーヴェンの曲の持つパワーに、本当に圧倒されてしまう・・・

弾きながら最後のページへの譜めくりをする時、深い感慨にふけってしまいました。
小学生の頃から親しんでいるこの古い楽譜、弾いたことのないページに出会うことは、人生でもう2度とないのだ・・・と。

一番最後の和音を弾いた時、涙が出そうになりました。
喜びと悲しみ、人との出会いと別離、色々なことにずっと寄り添い続けてくれたベートーヴェンへの曲への感謝でいっぱいです。

この曲が書かれたのは、ベートーヴェンが51歳だった1822年
既に聴覚を失っていたにもかかわらず、あの偉大な「第九」と並行してこのピアノソナタに取り組んでいたのです。
ロマン派のショパンリストは、まだティーンエイジャーにも達していませんでした。

ベートーヴェンは多分、やりたかったことは全てやり切って、満足してピアノソナタの作曲を終了したのでしょう。
耳が聴こえなくても、心の中に響き渡る音を楽譜にしてしまう・・・これはもう、神のなせる業としか言いようがありません。


ベートーヴェンのピアノソナタが「新約聖書」に例えられることがありますが、「旧約聖書」にあたるものは何だかご存知ですか。

「音楽の父」とも呼ばれるヨハン・セバスティアン・バッハの、「平均律クラヴィーア曲集」です。
これも、ピアノのレッスンを受けていた学生の頃に、第1巻の半分位までは弾いたのですが、それっきり放ってありました。

実はこちらも、その先のまだ弾いていなかった曲にチャレンジし続け、昨日第2巻の一番最後の曲にたどりついたばかりです♪


綿密に計画したわけでないのに、「旧約聖書」「新約聖書」ほぼ同時に最後の曲に到達したとは不思議だこと。

「平均律」は、バッハの他の曲集(「ゴルトベルク変奏曲」「パルティータ」「イギリス組曲」「フランス組曲」)と並行してだったので、とても時間がかかりました。
多分、左手首を骨折してしまった2019年に、「平均律クラヴィーア曲集」の中から指ならしで既に知っている曲を何曲か弾いてみたのが、全曲チャレンジしたいと思ったきっかけだったのではないかしら。

ショパンも熱心に研究していたという「平均律クラヴィーア曲集」は、他の作曲家にも多大な影響を与えた、まさに「バイブル」のような存在です。
こちらも、弾いているとバッハがそばで見守ってくれるのを感じます。

ハ長調、ハ短調、嬰ハ長調、嬰ハ短調・・・最後のロ短調まで全ての調の曲が順に続き、それぞれが「プレリュード(前奏曲)」「フーガ」から成ります。
嬰ハ長調は、♯が何と7つもつくので、読譜が大変!

「平均律」とは、鍵盤楽器の調律法のひとつです。
1オクターブは12個の半音で構成されていますが、その音程の幅を均等に割ったのが「平均律」です。
それまでの調律法では、調が変わると音が濁ってしまうという問題があったのが、これで解決されました。

ただしバッハのこの曲集は、元のドイツ語 (Das Wohltemperierte Klavier) でも英語 (The Well-Tempered Clavier) でも、「ほど良く(美しく響くように)調律された鍵盤楽器」という意味のタイトルになっていて、「平均律」がどんぴしゃりの訳であるかどうかは、疑問視されることもあるようです。

「平均律クラヴィーア曲集」の第1巻は1722年に、第2巻は1742年に完成しました。
日本では、徳川吉宗が将軍だった時代です。
その頃の日本では、どんな音楽が演奏されていたのでしょう。まさしく別世界ですね。

第1巻完成は、奇しくもベートーヴェンの「ピアノソナタ」完成のちょうど100年前だったわけです。
そして300年後の2022年には、ミネソタの片田舎に住むおばちゃんが「完奏するぞ!」と誓いを立て、何とかそれを果たしました。

ベートーヴェンの「ピアノソナタ」は、当時第1巻、第2巻各900円でした。
通しで613ページという厚みなのに、ずい分お安いこと!


「平均律クラヴィーア曲集」は、多分大学生になってピアノのレッスンを再開してから楽譜を買ったのだと思います。
第1巻は、当時で600円。だいぶ後になってから買った第2巻は800円。


一生楽しめる、かなり効率の良い投資でした(笑)


今年の3月に亡くなったイタリアのピアニスト、マウリツィオ・ポリーニの演奏を最後に載せます。
ベートーヴェンの全ピアノソナタの最終楽章であり、しかもポリーニがベートーヴェンを弾いた最後と思われる動画です。



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