おまけのページ

2024/11/19

若きヴィオラ奏者に泣かされた・・・

今夜は、ついに初雪が舞っています!
記録的に暖かかったミネソタの秋でしたが、いよいよ本格的な冬に突入かな?

日曜日には、またコンサート本番があり、無事に終わってほっとしているところです。
10月半ばのコンサートが終わった翌日から、さっさと自宅練習を始めないと間に合わないプログラムでした。

ハンティングシーズンにもかかわらず、大勢のお客様が来てくださって感激です。
身内だけでも、いつも必ず来てくれる夫の他に、二人の義妹、夫の従妹夫婦とその息子さん&彼の10歳と8歳のお嬢さん、友人夫婦2組と、とても賑やかでした。

今回は、アメリカの作曲家 Aaron Copland アーロン・コープランドの曲を数曲と、イギリスの作曲家 William Walton ウイリアム・ウォルトン「ヴィオラ協奏曲」を演奏しました。
二人共20世紀の初めに生まれ、ほぼ同時代に活躍した作曲家です。

ヴィオラはヴァイオリンよりひと回り大きく中音部を受け持つ弦楽器ですが、割と地味で、ヴァイオリンやチェロに比べ、スポットライトの当たる機会があまり多くありません。
ヴィオラ協奏曲の数も他に比べるととても少なく、私も数曲しか聴いていないと思います。

私たちのオーケストラのヴィオラ団員は、とても優秀で素晴らしい音を出しますが、「ヴィオラジョーク」が数多く存在するほど、一般的には「ヴァイオリンがイマイチな人が、ヴィオラに転向する」という失礼な見方があるそう・・・

ヴィオラジョークのひとつに、
 「デジタル録音だとヴィオラの音が聞こえないのは何故?」
  ⇒「 録音技術が格段に進歩したため、全ての外部ノイズをカットするようになったから」
というものがあります。
本当に、ヴィオラ奏者を馬鹿にしています。。。

でも、William Walton のヴィオラ協奏曲を聴けば、そんなひどいジョークを言いふらした人もひれ伏すに違いありません。
何と艶やかな音なのでしょう♪ ヴァイオリンもチェロも、こんな音は出せません。



この曲の自宅練習は、なかなか難しかったです。
拍子記号が頻繁に変わり、休みの小節がしばらく続くと、どこで入れば良いのかわからなくなります。

YouTube でスコア付きのものを見つけたので、それを見ながら練習。
でも、ここで大問題が・・・!
ト音記号ヘ音記号には慣れている私ですが、ヴィオラソロはほとんどハ音記号で記されています。
これが読めない・・・私の頭の中ではどうしてもト音記号に変換されてしまうのです。
ですから、耳に聞こえてくる音と目で見る音符が一致しなくて、訳がわからなくなってしまいます。

何度も聴くうちに段々慣れてきましたが、団員の中にも何人かいるヴァイオリンとヴィオラが両方弾ける人って、本当に尊敬しちゃう。
楽譜を読む時、頭の中がこんがらがらないのだろうか・・・

団員だけでのリハーサルが4回行われ、いよいよコンサートの2日前に、若いヴィオラのソリスト Gina Gravagne さんがテキサスから来てくださいました。


美しい音にうっとりしながら、ヴァイオリンの休みが長く続く時に彼女の弾く姿を眺めていると・・・
弓の持ち方がとてもユニークなことに気付きました。

どこがどう違うのだろうとさらに観察していたら、何と右手の指数本がひどく短いか欠けているようです。
家に帰ってコンサートプログラムのソリスト紹介ページを読んだら、先天的な symbrachydactyly(合短指)という障がいなのだそう。
左手は正常で、3歳からヴィオラを習い始めたとのことです。

成長過程ではきっと色々な困難があったのでしょうが、見事に乗り越えて大輪の花を咲かせたような演奏でした。
本番のステージでは、この曲の最終楽章が美しいヴィオラで静かに終わる時、思わず涙が溢れちゃった。
実は私のスタンドパートナーも、みんなに気付かれちゃっただろうかと心配しながら涙を拭っていたそうで、その後に二人で顔を見合わせて微笑んでしまいました。


休憩後のコープランドの曲「ロデオ」は、ザ・アメリカ!という感じで、リズミカルなもの、アメリカ民謡風なもの、情景の浮かぶ美しいもの、色々混ざっていて演奏していても楽しかったです。



コープランドの曲の数々は、今までのコンサートでも何度か演奏したことがあり、ファンが多いことがわかります。

古き良きアメリカの雰囲気にどっぷり浸かると、どこかわからない方向に暴走しそうな現在のアメリカのことを、しばらく忘れることができそうかな?


♪11月17日のコンサートプログラム♪ 

     Fanfare for the Common Man 市民のためのファンファーレ (Aaron Copland)

     Concerto for Viola and Orchestra ヴィオラとオーケストラのための協奏曲 (William Walton)
       Ⅰ. Andante Comode
       Ⅱ. Scherzo and Trio
       Ⅲ. Finale - allegro moderato
       Ⅳ. Aria (Andante religioso)
       Ⅴ. Rigaudon (Allegro con brio)
 
           Intermission
       
     Rodeo: Four Dance Episodes 「ロデオ」より4つのダンスのエピソード (Aaron Copland)
       Buckaroo Holiday カウボーイの休日
       Corral Nocturne 畜舎の夜想曲
       Saturday Night Waltz 土曜の夜のワルツ
       Hoedown ホーダウン

     Variation on a Shaker Melody from Appalachian Spring
      「アパラチアの春」よりシェーカー教の賛美歌による変奏曲 (Aaron Copland) 


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