立ち見客が出そうな勢いでした。
「ピーターと狼」 人気なのか、前にも共演したことのあるホンジュラス出身のヴァイオリニストの人気なのか、お天気にも恵まれたせいなのか???
出だしは、モーツァルトの 「劇場支配人」。
これは日本でも演奏したことがあったので、楽勝でした。
次の 「ピーターと狼」 は、子供向けのお話なので演奏も簡単なのではと思われがちですが、決してそんなことはありません。
他の楽器やナレーションがどこでどう入るか、かなりしっかりわかっていないと無理。
髪をピンクとパープルに染めたパンク系お姉ちゃんがナレーターだという噂は、ガセネタだったようです。
とても落ち着いた明瞭な話し方をする女性登場で、みんなほっとしました。 素晴らしいナレーションでしたよ。
そして、休憩をはさんで 「ピーターと狼」 と同じセルゲイ・プロコフィエフ Sergei Prokofiev 作曲の 「ヴァイオリン協奏曲第2番」。
ベルギー人の両親を持ったフランス生まれのヴァイオリニスト、ロベール・ソエタン Robert Soetens のために、1935年に書かれた曲です。
セルゲイ・プロコフィエフ |
これ、今まで演奏した曲の中で5本の指に入る難しさ・・・
オーケストラ全体で練習したのは2回だけ。
途中で崩壊しそうで、こんなでソリストと合わせられるのかい?という不安要素がいっぱいでした。
次回までに各自よく練習し、曲をしっかり覚え込めば、あなたたちなら必ずできる! と指揮者に乗せられ、みんな本当に頑張りましたよ。
(指揮者は、内心ハラハラドキドキだったと思います。)
金、土曜日にソリストと合わせたリハーサルが2回あり、日曜が本番。
土曜のリハーサルでも不安箇所がいくつかありましたが、最終的には本番が今までで最高の出来で、気持ち良く演奏できてよかった~
中米のホンジュラスは、サンゴ礁が美しい国だそう!
そこで生まれ育ったヴァイオリニスト Everaldo Martinez さんは、とてもフレンドリーで感じの良い方です。
最初に合わせた日には、ご自分からヴァイオリン席を歩き回り、全員とニコニコ握手してくださいました。
メロディーもリズムも複雑で、めちゃくちゃ速い部分も多い曲を、情熱的に見事に演奏し、もちろん割れるような拍手とスタンディングオベーション!
ロシア人の美しい奥様と、可愛らしいお嬢さん、そして彼の先生だったという方も、客席で聴いていらしたそうなので、さぞ誇らしかったでしょうね。
彼が Bismarck-Mandan Symphony Orchestra のコンサートマスターに就任した時の新聞記事から、画像をお借りしました。
とても背が高い女性指揮者と、男性としては小柄なソリストが、終わってからステージ上でハグする様子は、何だか微笑ましかったです。
このソロは、私などはたとえ300年練習しても絶対弾けなそう・・・
この曲のヴァイオリンパート譜を渡され、練習し始めた頃は、正直言って 「どうしよう」 と困ってしまいました。
非常に美しいメロディーの部分もあり、特に第2楽章の出だしなどはまるで天国の気分ですが、脳みそをかき回されそうな不協和音もたくさん登場。
急に5拍子や7拍子になる所もあるし、テンポは揺れまくるし。。。 頭の中でちゃんと数えていないと大変!
他の団員の皆さんは当然英語で数えているでしょうが、私だけは日本語です。 (きっぱり!)
この曲を練習中に脳内に浮かんだ風景は、こんなものでした。
私は、どういうわけか突然どこか異郷の地に放り出されて迷子になった人間。
周りの人たちは全然理解できない言葉を話し、衣装も見慣れないもので、どこに向かえばここから脱することができるのか全くわからず、不安でたまらない。
でも、しばらくさまよっているうちに、「この土地で生きていくのもおもしろいかもしれない。 言葉は通じなくても、習慣は違っても、みんな親切そうだし、楽しげに生活している様子だし・・・」 と考えるようになってくるのです。
この話を夫にしたら、それは正に彼が初めて日本に来た時に感じたことだって!
そうだったのか~
彼としては、ほんの数年住んだらさっさとアメリカに帰るつもりだったのが、思いがけず約30年も居ついてしまったのです。
プロコフィエフも、途中でしばらく滞在した日本、亡命先のアメリカ、パリでも、ひょっとしたら同じように感じていたのかも・・・と想像しています。
ちなみに、その後プロコフィエフが祖国ロシアに戻りたくなった理由のひとつは、「本物の冬」 と突然にやってくる春をまた見たくなったからだそう。
「本物の冬」 でしたら、ミネソタに来ればロシアに負けず劣らすのものが見られたのにね。
この曲も今ではすっかりお気に入りとなり、演奏中ももう迷子のような気分にはならなくなりました。
この動画は、オランダのヴァイオリニスト、ジャニーヌ・ヤンセン Janine Jansen さんの演奏。
カスタネットも鳴って踊り出したくなる、どことなくスペイン風の第3楽章の楽しげな表情も素敵です♪
★4月3日のコンサートのプログラム★
Overture to "The Impresario," K. 486 劇場支配人 (Wolfgang Amadeus Mozart)
Peter and the Wolf, Op. 67 ピーターと狼 (Sergei Prokofiev)
INTERMISSION
Violin Concerto No. 2 in G minor, Op. 63 ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調 (Sergei Prokofiev)
1. Allegro moderato
2. Andante assai
3. Allegro, ben marcato
Encore: Praeludium and Allegro 前奏とアレグロ (Fritz Kreisler)
ランキングに参加中です。
更新の励みになりますので、クリックで応援よろしくね♪
にほんブログ村
にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿