おまけのページ

2015/05/06

モーツァルトのレクイエムを演奏

レクイエムとは、死者のためのミサ、そしてそれに用いられる聖歌のこと。
モーツァルトヴェルディフォーレ作曲のものが、特に 「三大レクイエム」 と言われています。

2年前のこの時期にはブラームスのドイツレクイエムを演奏した私たちですが、今年はモーツァルトでした。
(日本では、通称 「モツレク」 です。)
映画 「アマデウス」 の影響で、私にとって一番なじみのあるのは、やはりモーツァルトの遺作となったこのレクイエムかもしれないな。


緊張感に満ちた 「怒りの日 (ディエス・イレ Dies irae )」 と、8小節で絶筆となった、それはそれは美しい 「涙の日 (ラクリモーサ Lacrimosa )」 が、特によく知られています。


モーツァルトは、幼い頃から神童としてもてはやされていました。
音楽の師でもあった父レオポルトは、並はずれた才能を持った息子を売り出すことにもとても熱心だったようです。 さては、ステージパパみたいな感じだったのかな!?

旅から旅へと続く暮らしは、さぞ大変だったことでしょう。 今みたいに道が舗装されているわけではないし・・・
長時間馬車に揺られたことが、後に健康を害す一因になったとも言われています。


天才少年だったモーツァルトも、晩年は人気が衰え、経済的に苦しい生活を送っていました。
売れなくなってしまった芸人みたいに、 「終わっちゃった人」 扱いされていたのね、きっと・・・

そこに突然現れた、灰色の服の謎の男! (映画では、この男はモーツァルトに嫉妬していた同時代の作曲家、サリエリだったことになっています。)
名も明かさぬまま 「レクイエム」 の作曲を依頼すると、高額な報酬の一部を前払いして立ち去ったそう。

作曲に取りかかったものの、モーツァルトの体調はどんどん悪化していきました。
何度も催促に来る謎の男が、死の世界からの使者なのではないかと怯え、 「これは自分のためのレクイエムだ」 と知人への手紙に書いていたとのことです。

そして曲が未完のまま、1791年12月5日、モーツァルトは本当に天国に旅立ってしまったのです。
人類への素晴らしい贈り物を残して逝ってしまった若き天才。 ぎゅっと濃縮された人生だったのでしょう。

今、先進国でモーツァルトの名を知らぬ人はいないでしょうが、そんな有名人がウィーン郊外の共同墓穴に埋葬され、その場所さえはっきりしないというのは悲しすぎる・・・

未亡人となったコンスタンツェは、何としても作曲料の全額をしっかりゲットしたかったようです。
そりゃそうだ、もし私が彼女の立場だったら、きっと同じ気持ちだったことでしょう。

モーツァルトの弟子フランツ・クサーヴァージュースマイヤー Franz Xaver Süßmayr に、補筆が委ねられることになりました。 (その前に、荷が重すぎて途中で投げ出した弟子もいた。)
その後、ジュースマイヤー版の欠点を補うべく、色々な作曲家が改訂版の作成を試みましたが、結局はジュースマイヤー版が最も高評価されています。


「レクイエム」 全曲通しての演奏時間は、指揮者によって様々です。
40分台の速めのバージョンもありますが、平均すると50~55分位なのかな。

その中でも横綱級 (笑) にゆっくりなのが、名演とされるカール・ベーム指揮、ウィーン・フィルのもの。
1時間を超える演奏です。


私たちのほうが、ずっと速かったな。。。 「聖なるかな (サンクトゥス Sanctus)」 の出だしなんて、これの倍位のテンポでした。


さて、地元の合唱団と共演した今回の 「レクイエム」 の本番、ほぼ満席のお客様でした!
4名のソリストの皆さんも素晴らしく、拍手が鳴り止みませんでした。
指揮者も、ご自分の中でベストコンサートの1つだったと、大満足だったご様子。 ほっ・・・

モーツァルトの遺作となった 「レクイエム」 、死者の鎮魂というよりは、恐ろしい感じを受ける最後の審判の様子や、神の許しと慈悲を求め、その栄光を称えることに重点が置かれています。
歌詞の意味は全くわからなくても、聴いていると、安らぎや優しさも感じることは確かです。

ひねくれた (?) メロディー、和音、リズムが全くないため、非常に弾きやすいと言えば弾きやすく、でも決して飽きない曲。
中毒性があるのか、コンサートが終わってからもついつい何度も聴いてしまっています。


既に天国の住人となってしまった親しい人々、懐かしい方々のお顔を思い浮かべながら、心を込めて演奏いたしました。
いつか、合唱パートにもチャレンジしてみたいですが、ラテン語かあ。。。ハードルが高いな。


★5月3日のコンサートのプログラム★

     Requiem in d-Moll  K. 626  (Wolfgang Amadeus Mozart)

      Introitus: 入祭唱
        - Requiem aeternam 永遠の安息を
        - Kyrie 憐れみの賛歌
      Sequentia: 続唱
        - Dies irae 怒りの日
        - Tuba mirum 奇しきラッパの響き
        - Rex tremendae 恐るべき御稜威の王
        - Recordare 思い出したまえ
        - Confutatis 呪われ退けられし者達が
        - Lacrimosa 涙の日
      Offertorium: 奉献文
        - Domine Jesu 主イエス
        - Hostias 賛美の生け贄
      Sanctus: 聖なるかな
        - Sanctus 聖なるかな
        - Benedictus 祝福された者
      Agnus Dei 神の小羊
        - Agnus Dei 神の小羊
      Communio: 聖体拝領唱
        - Lux aeterna 永遠の光


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6 件のコメント:

  1. Sakuraさんのミネソタ暮らしに憧れながら、いつも楽しく読ませていただいています。
    合唱団に所属していまして、今年モーツァルトレクイエムをオーケストラと共に演奏する予定です。(レヴィン版ですが) まさにモツレクのことが書かれていて、とても嬉しいです。

    オーケストラにとっては弾きやすい曲なのですね! 合唱団にとっては、音の細かい変化があったりパートによって入り方が違ったりするので難しいです! でも、名曲と言われているだけあって、やはり美しいですね。Lacrimosaは鳥肌の立つくらい美しいです。今はピアノだけの伴奏ですが、オケと一緒にホールで演奏することができたら、至福の時だろうなと思い楽しみです。

    音楽は楽しいですよね。海外暮らしでも楽団に入って活躍されているSakuraさんがとても眩しく見えます。私もいつか英語圏に住みたいと思っていまして、どこに移り住んでも、地域の合唱団に入って音楽演奏ができたらと思っています!^^

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    1. Lily さん、

      はじめまして♪
      モツレク、私もいつか歌ってみたいです。
      でも、ラテン語&ギリシャ語はかなりハードル高いでしょうね。
      「メサイア」 は合唱団で歌ったことがありますが、
      これは英語ですので、言葉の苦労はそれほどありませんでした。
      練習の時、オーケストラパートをお1人でこなすピアノ伴奏の方は、
      相当な腕だと思います。

      コンサート本番はいつですか?
      私たちは今日の午後 「ピーターと狼」 などの本番を控えています。
      世界の共通語である音楽にどっぷり浸れるのは、至福の時・・・
      Lily さんも、世界中どこにいらしてもぜひ合唱を続けてくださいね♪

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  2. Sakuraさん お返事ありがとうございます。(お知らせを受け取る、にチェックすべきでしたー) コンサートを楽しまれたことと思います。

    ギリシャ語はやったことがないですが、ラテン語の発音は意外に簡単なんですよ。日本語と同じくほぼ全てが母音と子音の組み合わせですし、カタカナ読みで良いので。英語の元になっただけあって、英語に似ているので単語もわりと親しみやすいです。機会があればぜひラテン語合唱もどうぞー!

    メサイアをぜひ一度生で聴いてみたいです。英語の合唱曲は挑戦したことがないのでぜひしたいですね。クリスマス時期にはメサイアを思い出します。

    ますますモツレクが楽しみになってきました☆

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    1. Lily さん、

      ラテン語には全く縁がなく過ごしてきましたが、ローマ字読みで大体通じるのかもしれませんね。
      それでしたら、英語や 「第九」 などのドイツ語より楽なのかも?

      地元の合唱団の皆さんのレベルは大変高く、合わせるのがいつも楽しみです。
      音楽が身近にある暮らし、最高ですね♪
      本番、ぜひ頑張ってください (^◇^*)/

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  3. 英語やドイツ語よりは、発音は楽だと思います。よく考えたらラッキーですね。 
    美しいハーモニーの一員となれる喜びに浸りながら、頑張ります♪ ありがとうございます!

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    1. 英語ですと意味はわかりやすいですが、
      「メサイア」 を日本で歌った時は、カタカナ英語が抜けない方もいました。。。
      ラテン語のほうが、その点は良さそうですね。
      「美しいハーモニーの一員となる喜び」・・・とても素敵な表現です♪

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